DX導入の壁は将来のコストが見えにくいこと

DX(デジタルを使って経営変革する)とまではいかなくても、中小企業においてもデジタル化は急速に広がり定着しています。

 

財務管理・会計処理・在庫管理・給与計算・伝票発行など付帯業務から広まっていったデジタルの波は、技術調査・商品開発・生産企画・生産工程管理・販路拡大・販売促進など中核業務に及んでいます。クラウドサービスの利用・ペーパーレス化・AIの活用・IOTの拡大などによって利便性を高め、省人化や省力化を進めている企業も多いです。

 

PC
PC

そんななか、DXの拡大の障壁になるのが、かかるコストのわかり難さです。

通常、デジタル化の目的はコスト削減=収益改善です。しかし、デジタル化にも、これまでと異なるコストが必要です。

 

デジタル化のイニシャルコストは、見積をとって実行するので比較的明確です。但し、事業者が予想する以上のコストがかかることが一般的です。

投資採算性評価をおこなってみて、採算が取れるという解答を出すのは、かなり骨がおります。また、デジタル化投資の対象となるハードもソフトも耐用年数が短いので、投資回収を想定する期間を長くはできません。

 

さらに頭が痛いのがランニングコストです。デジタル化によって、データ通信やストレージにかかるコストは馬鹿になりません。キャッシュレス決済などの手数料は数パーセントですが、セールやポイント還元に参加するなど諸々を足し合わせると10パーセントを大きく超える例もあります。

 

これに加えて困るのが、デジタルコストは運用者によって勝手に改定(つまり値上げ)されるリスクがあります。突然、通知が来て○○月から○○円になりますと言われても、それじゃ止めるとは言えませんから泣き寝入りです。

 

また、サービスを○○月を以って停止します、といった通知を受けることもあります。大手のシステムメーカーでも、システムを特定のエンジニアに頼っている場合も多いので、極端な話ではそのエンジニアがいなくなったからサービスできない、なんてケースもあります。

 

DXは否応なく必要ですが、予め知識や経験を積んでおくことです。中小企業の場合では、DXで差別化・競争力強化と大げさに考えないで、他者で実績が豊富にありユーザーから話を聞けるような一周遅れの仕組みを導入することも選択肢です。幸いに、デジタル技術は改善改造がやりやすいので、一周遅れでも自社にあったように修正することもできると思います。