ノロウイルス・サルモネラ菌・カンピロバクター(1回目)

HACCPによる管理が義務化されています。小規模事業者さんの食品衛生計画に関する支援も増えています。

 

事業系の食中毒の原因は、およそウイルスによるものが半分、細菌によるものが半分です。ウイルスによるものは大半がノロウイルス、細菌では被害が大きいのがサルモネラ菌で数が多いのがカンピロバクターです。

 

HACCP義務化(2021.6.1~)
HACCP義務化(2021.6.1~)

HACCPという仕組み、義務化で求められることなどは厚労省のHACCP関連サイトをご覧ください。

 

今日は食中毒の原因となる病原体についてです。最初に書いたように、日本の事業系の食中毒では病原体はウイルスがおよそ半分、細菌がおよそ半分です。

海外では寄生虫が病原体になる食中毒が多いですが、日本ではアニサキスによるものに限られて、比較的患者数は少ないです。この他に、フグやキノコなどの自然毒や化学物質による食中毒もごく稀にあります。

 

食中毒のウイルスで最も多いのがノロウイルスです。昔はあまり聞かなかったので、新しいウイルスかと言えばそんなことはありません。新型コロナでおなじみになったPCR検査法が確立していなった2005年以前には特定できなかっただけです。

ノロウイルスは人から人へと感染しますが、コロナと同じく一本鎖のウイルスで、頻繁に変異を繰り返すので、感染経路の特定が困難な病原体です。5類感染症に指定されており、感染すると胃腸炎を起こします。

 

ノロウイルス感染による直接的な死亡例の数は不明ですが、感染性胃腸炎が死因で亡くなる人は年間2300~2500人です。

ノロウイルスにはワクチンも治療薬もありません。止瀉薬を服用して、水分をしっかりとりながら安静にしておくことです。診断には抗原検査をおこないます。

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ノロウイルスの多くは人、つまり調理やサービスする人からの感染です。感染してもすぐに症状が出るわけでもないので、多くが感染経路不明となります。

ノロウイルスへの感染を防ぐには、液体せっけんを使ってしっかり手洗いをする、その後流水でしっかりすすぐ、ことが大事です。また、調理室内(ドアノブやスイッチなど手を触れるところは念入りに)、調理器具や調理台を清潔に保つことも必要です。

さらに、ノロウイルスは便や吐しゃ物に多く含まれることがわかっているので、トイレの清掃や便や吐しゃ物で汚染されている懸念がある衣服やダスターの消毒を徹底します。

 

ノロウイルス食中毒件数
ノロウイルス食中毒件数

さて、ノロウイルスとコロナウイルス、結構似ています。このため、新型コロナウイルス感染症対策を徹底した結果、昨年はノロウイルスが原因の食中毒が大幅に減りました。

 

まぁ、それはそれで、よかったです。

 

長くなったので、細菌のことは明日書くことにします。