補助金は全額がもらえるわけではない

コロナ禍で新しい補助金・助成金がたくさん登場していますが、ちょっと注意です。

 

補助金・助成金は基本的に返済不要の資金ですから、何だか丸儲けのように勘違いしてしまいます。しかし、実際はいくつかの点で異なり、全額丸儲けではありません。少し解説します。

 

補助金・助成金
補助金・助成金

最初に補助金・助成金は課税対象であるということを忘れないでください。コロナ禍で一部の給付金で非課税のものが出ています(1人一律10万円を支給した特別給付金・緊急事態宣言下の飲食店の休業協力金など)が、このような特別なものを除けば日本においては原則としてあらゆる収入には課税されます。

 

補助金・助成金は所得税の課税対象です。コロナ禍で法人に200万円・個人に100万円を給付した持続化給付金も雇用調整助成金も全て課税対象となる収益です。

 

補助金・助成金は”基本的に”返済不要ですが、収益納付という制度が適用される場合もあります。補助金適正化法で認められる制度で、補助事業で相当の収益が出る場合には、交付した補助金の一部を国に納付する制度です。ものづくり補助金なども、この制度が適用されており、事業期間に提出する事業化報告書で収益納付が必要になる場合があります。

 

ときには補助金・助成金を返還しなければならないケースもあります。例えば、補助金で導入した設備を申請した用途以外に転用するような場合です。また、事業期間内に、誰かに譲渡したり、貸与したり、ときには廃棄したりした場合にも補助金の一部を返還しなければならないことがあります。

そんなこと滅多にないように思うかも知れませんが、補助金を得て取り組むような事業では、当初の目論見通りにいかないことも多くて、変換するケースは結構あります。逆に、返還したくなくてダメになったと判断した事業にこだわって損失を増やすのは愚策です。

 

また、補助金は事業に係る費用の全額をもらえるわけではありません。補助率が1/3とか1/2とか2/3とか決まっています。補助の上限金額もありますし、補助対象の経費にも決まりがあります。さらに、補助金は事業が終わってから支給されるので、その間の資金は全額手当てしておかなければなりません。

 

結局のところ、どんな補助金でも終わってみれば思ったようには使えないのです。じっくりと計画を練ったうえで、採算性をきちんと評価してから申請することを推奨します。