前の農林水産大臣が「お米を買ったことがない」と発言してクビになりました。
まぁ、「いわんでもええことをいうてはいけん」のです。但し、この発言には重要なことが含まれています。仕事柄、地域の中小企業の事業主さんと話す機会が多いので、「お米ってスーパーで買っていますか?」と訊ねてみます。ほとんど「YES]といわれる人はおりません。感覚的には10人に1人くらいです。実は、お米をスーパーで買わない人は元大臣に限らず多いのです。

事業主さんの場合は、実家で米をつくっているとか、近所の農家さんに分けてもらっているとか、従業員の家が米農家なので直接買っているとか、様々ですが、流通ルートに乗ったお米を買っていない人が多いのです。
実は、お米が他の商品と大きく違うのがここのところです。マスコミで、農水省の統計の不備を指摘するコメンテーターさんが多いのですが、そもそも米の正確な流通量や収穫量はわかりません。
地方の道路沿いには、たくさんのコイン精米機が設置されているのが、分かりやすい証左です。コイン精米機で精米されているお米は、スーパーで買った米ではなく、統計には直接でてきません。
また、お米は家庭で消費される量より、飲食店や弁当、コンビニおにぎりなど、家庭外で消費される量のほうが多いのです。高くなったと騒いでいるお米は、お米流通のほんの一部を取り上げているだけです。
大手外食チェーンのお店では、大盛り無料がずっと続いています。大手チェーンでは、お米は複数年(最長だと5年)契約で仕入れていますから、スーパーの店頭価格は何の関係もありません。
食糧管理や減反政策が終わって、お米は自由経済のなかの商品になっています。これを理解したうえで、お米は日本の農業の基礎です。米で収入を得ている農家は70万世帯余りですが、収入を得ていない米農家まで含めると100万は超えそうです。山口県なのでは、100人に1人くらいの割合で米生産に関わっていることになります。
お米は、他の一般的な商品とはかなり変わった特性を持っているのです。