中小トラック事業者の運賃是正に政府は本気で取り組んで

国民生活を支えているトラック輸送ですが、中小運送会社の場合は原価の50%近くが人件費で占められます。

 

残り50%のうち20%が燃料費で、車両の減価償却あるいはリース費が7~8%、修繕費・車検費用・タイヤ等消耗品費も7~8%、損害保険料も高額です。

トラック運転手の2024年問題と最低賃金の引上げなど賃上げの動向もあって人件費は上昇します。燃料費も5年前と比較すると5割近く上がっています。トラックの車両価格も大幅に上昇しています。

 

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政府は賃上げをするように、各事業者に促しています。賃上げをするには、価格を上げなければならないのは自明です。

人件費の上昇幅を年率3.5%とすれば、5年前と比較して少なくとも20~25%運賃が上がっていなければ計算が合いません。

 

しかし、大手企業はともかく、中小事業者のトラック運賃はなかなか上がっていきません。トラック輸送は利用者側からみると、差別化がわかりにくいサービスです。

 

実際は、同じ物流であってもその品質やサービスには大きな差があります。現場としては、人気のある運転手さんもいます。しかし、本社や事務所の管理職さんにとっては、運賃だけがサービスのように思えるようです。

 

このままでは荷主と大手運送会社の間にある中小トラック業者の疲弊が止まりません。国土交通省も標準的な運賃を提示して、価格是正に動いてはいますが、恩恵は大手事業者にとどまります。経営というか資金繰りに苦しむ中小事業者は結局のところ価格を下げて仕事を確保しようとするので、悪循環が続きます。

 

トラック事業者の95%は中小企業です。従業員10人以下の事業者が50%近くを占めます。日本の物流は中小トラック事業者が支えています。政府がより強力に、具体的な目標数値を示して、中小トラック事業者の運賃是正を求めることが必要でしょう。