フジメディアホールデングスに対して日枝取締役の退任を求めているのがダルトン・インベスティメンです。
ダルトンはいわゆるオフェンシブなアクテビティー・ファンドで、物言う株主といわれます。アクテビティー・ファンドは、オフェンシブなものとディフェンシブなものに大別されます。アクティビティー・ファンドの多くは、プライベート・ヘッジ・ファンドに属します。

プライベート・ファンド(私募ファンド)は、年金、基金、保険、企業、富裕層などからの出資を受けて、証券やその他の取引をおこないます。ファンドは得た利益を、出資持ち分に応じて配当します。
プライベート・ファンドのさきがけが、ジョン・ピアポント・モルガン、J.P.モルガンです。J.P.モルガンが1898年から2001年にかけて実行した取引で誕生したのが、話題のUSスチールです。
プライベート・ファンドには、長期的な視点で投資をするもの(プライベート・エクイティ・ファンド)があります。ベンチャー・キャピタルはこの一つです。
一方で、短期的な視点で利益を得ようとする、リターンの最大化を目指すヘッジ・ファンドがあります。ヘッジ・ファンドでは、投資家も投資先もともに流動性が高くなります。
ヘッジ・ファンドは、その性質上から投資先の経営者がファンドの利益に忠実であることを求めます。つまり、企業統治(コーポレート・ガバナンス)は、あくまで株主の短期的な利益になるものでなければならないとされ、積極的な株主提案を次々と仕掛けます。オフェンシブなアクティビストと言われます。
フジメディアホールディングスのケースがどうかはともかく、過度な短期主義は企業の持続的な発展にマイナスになるときもあります。現実には、自信満々なベテラン経営者が長期戦略を立案し実行してこそ、企業グループの価値を高めることができるという場合も確かにあると思います。
ホリエモンが「取締役の立場は株主が決める」と言っていましたが、それは事実です。しかし、株主にはオフェンシブなアクティビストばかりではありません。長期的な視点で投資している機関投資家もあり、且つ一般にはその方が出資比率で優勢です。
マスコミを通して見えているのが全てではないと思います。