3日続きで鉄鋼業のお話です。世界のトップ50に日本の鉄鋼会社は2社しかありません。
日本製鉄とJFEスチールです。どちらも業界再編によって誕生した会社です。
昨日のブログで書いたように、2023年に18.9億トンだった鉄鋼生産量は、2000年には8.5億トンと半分以下でした。この2000年の鉄鋼生産量ランキングは1位新日本製鉄(28百万トン)、9位日本鋼管(16百万トン)、11位川崎製鉄(13百万トン)、12位住友金属工業(12百万トン)、28位神戸製鋼所(6百万トン)でした。

2002年に日本鋼管と川崎製鉄が統合してJFEスチールが誕生します。
2012年に新日本製鉄と住友金属工業が統合して新日鉄住金が誕生し、2019年に日本製鉄と名前を改めます。
ちなみに、新日本製鉄は1970年に八幡製鉄と富士製鉄が合併して成立しています。
鉄鋼業は典型的な装置産業なので、基本的にはスケールメリットを追求することで経営的に優位に立つことができます。これに加えて、生産プロセスの高度化や製品技術の先進性が競争力をさらに強化します。
日本の2社とアメリカのUSスチールやクリーブランド・クルフスを比較した場合では、日本の2社は米国2社に対して30%以上生産やエネルギー効率が高いそうです。
製品技術でも、今回の買収騒動でよく話題になる自動車向け鋼板や発電所向け方向性電磁鋼板など高機能製品で、日本勢は優位な立場にあります。
今世紀に入って日本では鉄鋼業界の再編ががおこなわれ、トップ2が固定しました。これによって、過当競争がなくなり、高炉をはじめとする設備の廃棄や休止によって生産能力の過剰は解消されてきました。
現在の世界の鉄鋼業界は、生産の消費も、その過半を占める中国において、企業が乱立して過当競争を繰り広げていることで秩序が乱れています。中国政府が何らかのコントロールをおこなおうと考える動機付けができればよいのですが・・。
ちなみに、製造業から排出される温室効果ガスの1/3は鉄鋼業が由来です。グリーンスチールへの転換を進めなければならないという背景もあります。