第14次労災防検討中~自社の労働安全の見直しを

厚生労働大臣が策定した第13次労働防災計画は今年度(2022年度)が最終年です。

 

第14次労働防災計画策定に向けた審議がはじまったということです。第13次労災防(2018年度~2022年度)を少し振り返ってみましょう。メインテーマは「一人の被災者も出さないという基本理念の下、働く方々の一人一人がより良い将来の展望を持ち得るような社会」です。

 

13次労災防
13次労災防

第13次労災防ではいくつか数値目標が提示されています。先ず、死亡災害ですが2017年と比較して2022年は15%以上減少させるという目標でした。

本来、労働災害による死傷者はゼロであるべきで人数の目標を掲げることには異論もあるのですが、実際の活動としては目標数値を提示せざる得ません。

 

労働災害による死亡者数を2017年の978人から2022年に831人以下にするというのが目標です。結果は2020年に既に目標を達成して802人(▲18.0%)まで減った死亡者数が、2021年は867人(▲11.3%)に増えています。

但し、2021年の867人には新型コロナ罹患による労働災害認定が89人含まれています(2020年にも18人)から、これを除くと2020年は784人、2021年は778人です。今年(2022年)は9月速報値で462人(2017年対比▲17.1%)なので、目標達成の可能性は高いです。

 

次の目標が労働災害による死傷者数(休業4日以上)を2017年の120,460人から5%以上減らして114,437人以下にするというものです。結果は2021年の死傷者数は149,918人(+24.5%)となっており、大幅に増加しています。

新型コロナ罹患による労働災害認定によって統計の意味が失われていますが、これを除いた死傷者数は2021年は130,586人(+8.4%増)です。2020年9月速報値(「その他」を控除)で66,485人(+11%)となっています。目標の達成は困難です。

 

労災死傷者数(コロナ罹患を除く)が顕著に増えているのが、社会福祉施設(1,130人・+9.7%)と小売業(1,168人・+7.7%)です。また、製造業では食品加工業が全体の1/3を占めて、最も多くなっています。人手不足で未熟練作業者の労災が増えた建設業、コロナ巣ごもり需要で宅配利用の増えた陸上貨物輸送業でも死傷者数が大きく増えました。

 

総じて言えば、中小企業・小規模事業者で労災死傷者数が増えています。事業者は、自社・自店の労働安全について、日常的に繰り返して点検して改善を心掛けないといけません。