農地を減らして森林を増やすのが正解なのか?

省エネに関するセミナー原稿を書いています。世界の土地利用についての備忘です。

 

土地の単位はいろいろありますが、世界を相手にするとわかりやすいのは「M㎢(百万平方キロメートル)」です。地球の面積は510M㎢、陸地の面積は150M㎢、森林の面積は40M㎢です。日本の面積は0.38M㎢で、日本の森林面積は0.25M㎢です。地球温暖化を防ぐには森林面積を増やすことが有効です。

 

日本の森林面積
日本の森林面積

森林は大気中の二酸化炭素を吸収して大きくなりますから、温室効果を緩和することに貢献します。

しかし、世界の森林面積は年間0.5M㎢(日本の森林面積の2倍に当たる)くらいが減少しています。その要因は、温暖化による熱波と干ばつによる森林火災で0.2M㎢、伐採や過剰な薪採取などで0.2M㎢、その他0.1M㎢です。

 

IPCCの報告などでは、地球温暖化を抑止するには、森林面積を2100年までに7M㎢増やし、バイオ燃料の作付面積を3M㎢増やしたいとわれています。合せて、10M㎢です。

陸地面積が150M㎢といっても、このうち14M㎢が南極大陸で、36M㎢が砂漠です。使える土地は限られています。砂漠の緑化に取り組もうとしているのですが、温暖化が進むことで、その難易度は高まっています。

 

そうなると、現在は農地や牧草地として使われている17M㎢の一部を転用しようという考え方もでてきます。実は、農業(農作物)や畜産(牧草)は二酸化炭素を吸収するもの、発酵によるメタンとか肥料からの窒素酸化物など温室効果の高い物質を放出しています。

それでは、世界人口はまだまだ増加するのに、食糧生産はどうするのだ?という話になるのですが、人間の生存に必要な熱量を確保するだけなら、これだけの農地は不要という理屈もあながちムリでもないのです。

 

一方で、寒冷地帯の温暖化で、森林面積が増えるということもあります。ロシアの国土面積は17M㎢と広大ですが、多くがシベリアの寒冷地です。温暖化で凍土が溶けて、森林が発生してきています。これは良いことだと思っていると、これまで雪面が反射していた日射を地面が吸収することになって、局地的に温暖化が加速するそうです。

 

複雑な絡み合いがあって正確にはわからないのですが、とりあえず備忘として置いときます。