ロシアが脱欧入亜を目指すとき

ロシアのウクライナ侵略の本当の戦況は詳らかではありません。

 

しかし、どうもロシアは苦戦を強いられているように思われます。もっと、端的に言えばプーチンが主張する軍事作戦の目的は果たせないだけでなく、ウクライナ側(つまりは欧米側)に押し戻されて侵攻以前よりもマイナスで終結せざる得ないような気がします。

 

ロシア連邦
ロシア連邦

このままロシアが、ウクライナとこれを支援する欧米に敗北する(押し戻される)とすれば、その後には、どのような事態がくるのかを予想しなければいけません。

 

欧米西側諸国とロシアには、既に乗り越えることが困難な溝(壁かな)ができてしまいました。

仮にロシアのプーチン政権が崩壊して、新たな政権に替わったとしても、この溝が取り除かれて、再び東西融和に戻ることはすぐにはなさそうです。

 

何故なら、今回の侵略の背景として、東方正教会とローマ・カトリックの争いがあることが改めて明らかになったからです。ロシアが独立を承認したウクライナ東部の自治共和国は、憲法で正教に基づく政体であることを明記しているそうです。政治的な融和は利を以って可能でも、宗教的な対立の解消は容易ではなさそうです。

 

ロシアは経済力では世界11位までシェアを下げていますが、面積では世界の陸地の11.5%(旧ソ連は15.2%)を占めて圧倒的な第1位です。世界におけるロシアの重要性は、陸地面積という揺るがせない資源からも変わりません。

 

もちろん、ロシアは自国だけでも生きていける国ですが、貧しくなると自国民の不満を抑えることはできません。欧州(EUやNATOやカトリック)との障壁を自ら強固にしたロシアが、発展拡大を目指して向かう先が、アジアになる可能性はかなり高いと思います。

 

そもそもロシアの領土の3/4以上はウラル山脈以東のアジアにあります。ここには、未開発の資源がまだまだたくさんあります。日本の北方領土を含めたオホーツク海やベーリング海など北太平洋の資源も魅力的です。

アジア側でロシアと国境を接しているのは、陸続きではカザフスタン・モンゴル・中国・北朝鮮の4か国です。今のところ、この4か国との間の溝は無いかあっても浅そうです。

 

そして、ロシア(中国・北朝鮮とも)と海を隔てて国境を接しているのが日本です。ロシアは海を隔ててはアメリカとも国境を接してはいます。また、日本とアメリカは軍事同盟を結んでもいます。日本の立ち位置は難しいことになります。

「執中無権」で済むことではないように思います。