工場部門のリーダーシップ機能にはPM理論が役に立つ

改めて検索してみると、「三隅二不二によって1966年に提唱された理論」とあります。

 

55年も前に提唱された理論なんですね。私が工場で働きだしたときでも、既に15年も経っていたわけです。古臭くて、カビが生えていそうですが、存外いいところをついていて、今でも結構役に立ちます。PM理論のPはPerformanceでMはMaintenanceです。

 

PM理論
PM理論

リーダーシップPM理論では、集団機能をPの目標達成機能とMの集団維持機能に分類します。これをマトリックスにすると、右の図のようになります。昨日の強いものを大文字。弱いものを小文字にすると、PM型・Pm型・pM型・pm型の4つになります。

 

PM型のリーダーシップを発揮できる場合に組織の効果や満足度が最も高くなります。

まぁ、両方優れているのが理想的なリーダーですといわれても、当たり前なので、だからどうだってなります。

 

しかし、PとMの両方が高いというのは結構難しいことです。

Pが高いリーダーシップというのは、厳格な目標設定・効率的な計画立案・メンバーの行動の監視と強い圧力などです。「納期を厳守するために細かく進捗を管理する」「ルールや規則を守るために、厳しくメンバーを指導する」といった行動をとります。

 

Mが高いリーダーシップでは、良好な人間関係・適切なチームワーク・メンバーの自発的な行動の促しなどです。「メンバーや部下一人ひとりを気づかい、積極的に声をかける」「メンバー間に対立が生じた場合に、その解消に向け積極的に関与する」といった行動です。

 

両方を一人のリーダーがおこなうのは難しいように思います。少し大きな組織では、リーダーにも階層があって、第一線リーダーと第二線リーダーでPMの重みを変えることができますが、中小企業の場合は難しいです。一人のリーダーにPM両方を託します。

誰かをリーダーに指名して、PM型でやってくれ!と指示しても、支持された側は困ります。

 

そこで、一つの仮説を立ててみます。「M機能がP機能の向上を促す」という仮説です。

リーダーに指名した人に、最初にM機能を高める、つまり集団をまとめる力を持ってくれと指示します。徹底的に、メンバーや部下に声を掛けて、できるだけ多くの情報を得ること。それぞれの人の能力(フィジカル・メンタル・スキル)を把握して、集団にはどんな人間関係があるのかを知り、集団の維持に力を入れてもらいます。

 

こうして、M機能を高めてからP機能に注目を移していきます。「M機能がP機能の触媒効果」を果たすという相乗仮設です。もちろん、M機能からP機能へという順番が大事です。

 

 

また、P機能は1966年のような高度成長期にはしっかり発揮できたののですが、その後の不連続な時代、また、現在のように先の予測が難しい事業環境では必ずしもうまくいきません。目標そのものをころころと変えなくてはいけないならば、達成機能の向上といっても難しいのです。そこで、M→P仮設が一層評価されるようになります。

 

現在では、働き方改革や、社会規範の変化もあって、リーダーシップの要諦も随分と変わっています。PM理論に代わる考え方が必要になっています。