酸化鉄の仕事をしていました。無機顔料として酸化鉄(赤・黒・黄)の地位は第2位です。
無機顔料の世界で常に№1の地位にあるのは酸化チタン(白)です。酸化チタンは高い屈折率、隠ぺい力、発色性に優れた材料です。光触媒作用もあるので、幅広い用途で使われます。塗料、プラスチック、紙、建材、ガラス、電子部品など現代社会に欠かせない材料です。
酸化鉄は無機顔料では№2の地位にあります。酸化鉄と言えば赤色のイメージですが、結晶構造によって、黒色、黄色もあります。また、少し珍しいところでは緑色にもなります。酸化鉄は1万7千年前の洞窟壁画にも使われているので、人類が使った最古の顔料とも言われます。
一方で人類が作った最古の合成顔料がエジプシャンブルー(エジプト青)です。エジプト青はケイ酸銅カルシウムという組成です。
☞ 2025/09/28 5000年前のテクノロジー~エジプシャンブルー
中世ヨーロッパで、青は高貴な色とされたのでアフガニスタンの鉱山で採掘されるウルトラマリン(ケイ酸アルミニウムナトリウムと硫黄の復塩)が珍重されました。但し、極めて高価なのでヨーロッパでも北部や西部までは届き難かったようです。
1704年にベルリンの塗料製造者(ヨハン・ヤコブ・ディースバッハ)が赤色のレーキ顔料をつくる過程で失敗(動物油で汚染された炭酸カリウムを誤って使用)して、出来上がったのがプルシアンブルー(群青・ベルリン青・ベロ藍)です。組成はフェロシアン化第二鉄です。
エジプト青やウルトラマリンと違って、安価に大量に工業生産されることから急速に普及しました。
そして、ヨーロッパを飛び出したベロ藍(ベルリン藍を略した)は日本にやってきます。この頃のベロ藍は、オランダ人が中国大陸で製造したものを日本が輸入していたようです。
葛飾北斎の富嶽36景の独特の雰囲気はベロ藍でできた藍色が作っています。北斎や広重の浮世絵はヨーロッパに伝わり、ベロ藍は北斎ブルー・広重ブルー・ジャパンブルーと呼ばれるようになります。


