ダ・ヴィンチの最後の晩餐は1498年に完成したテンペラ壁画です。
テンペラ画というのは、卵黄に顔料を混ぜたテンペラ絵具を使って描かれます。6世紀には発明されていて、油彩画が発明され普及していく15世紀から16世紀までは、西洋絵画の主要な技法でした。テンペラ画の主な特徴は、乾燥が非常に早く、変色や退色がほとんどなく鮮やかな色合いが長い間維持されることです。

日本にはキリスト伝来と同じ時期に知られるようになったようです。
フランシスコ・ザビエルの来日は1549年ですが、その際にはテンペラ画のイコン(聖像画)を持参して、天皇や大名に献上したと思われます。
イエズス会は1579年に近江・安土と肥前・有馬に最初のセミナリオ(小規模の神学校)を設けます。セミナリオでは、テンペラ画を含む西洋絵画の技法を教えたそうです。1583年にはイタリア人画家の ジョバンニ・ニコラオが来日し、1614年に禁教令で追放されるまで、長崎のセミナリオなどで技術指導をおこないました。
テンペラ画は乾燥が早く色が変化しないという優れた特長があるのですが、これは逆に言えば重ね塗りできず、作品に深みを持たせられないという欠点にもつながります。また、乾燥の速さはひび割れの原因になりました。
結果として、テンペラ画は油彩画とのハイブリッドの時期を経て、徐々に油彩画に主役の地位を奪われたということです。
