大規模農業経営で国際競争には勝てない

テレビでコメンテーターさんが「日本の農業を大規模化して経済性を高め、世界と競争するべきだ」と言われます。大規模をどう定義されているのだろうか? 

 

日本という国のことを理解しなければなりません。日本の国土面積は37万㎢=3700万ヘクタール(ha)です。日本の農地面積は国土の12.5%ほどを占め425万haです。日本に米を輸出するといっているアメリカには、日本の27倍の国土があり、日本の38倍の1億6千万haの農地があります。

 

アメリカの稲作
アメリカの稲作

日本の稲作農家は一戸で1~2haを耕作しているところが多いのが現状です。大規模に経営している農家でも、北海道の一部を除けば数十haの規模に留まります。

 

さらに数十haといっても、離農した農家の農地を借りて耕作する場合が多くあります。農地が分散していますから、農地から農地への移動があるので、耕作面積が大きいから効率的とは必ずしも言えません。

 

そこで、土地改良や圃場整備といった事業で農地をまとめることになるのですが、これも北海道の一部を除けば数百ha(多くは200ha未満)が限界です。アメリカ、中国、インドといった大国と比較すると2桁、フランスやドイツなどと比較すると1桁規模が小さいのが実情です。

日本にはまとまった農地をつくることができる土地そのものが無いのです。コメンテーターさんが言うような農政の失敗なんかじゃありません。

 

経済的な大規模耕作には、農地面積で1000haを超えるのが一つの壁です。この理由で最も大きいのは、農業には「水」が必要だからです。どんな作物(植物)でも水が無ければ育ちません。農地には水を供給しなければならないので、農業用のダムとダムからの送水施設、農地の灌漑施設、排水施設などが必要です。このインフラを建設して、ポンプやら配管やらの施設の維持管理更新を経済的に実施するには、数百ha規模では現実的ではありません。

 

つまり、国際競争力を農業経営の大規模化で達成するという政策は難しいと思います。日本の農業の国際競争力は農作物の広義の品質、つまりブランド力で発揮させるということです。

今、話題になっている米でいえば、「日本米」が他の国の米とは違うものだと周知させることが大事です。「和牛」が他国の牛肉とは違うものと認知されたようにです。