久しぶりに老子のお話です。中国の民族宗教である道教が成立した時期は諸説ありますが、おおむね紀元2世紀から5世紀の頃です。
老子は紀元前500年くらいの人ですから、道教の成立まで600~900年の隔たりがあります。しかし、道教の「道」と老子が説いた「道」は基本的には同じものです。
老子は「道は一を生じ、一は二を生じ、二は三を生じ、三は万物を生ず」と言っています。現代で言い換えると、「道」とは「自然科学の法則」のことです。

「道」は「目に見える現象世界を超えた根源の世界」「天地万物は道から生まれる」「人間が掴むことができないおぼろげなもの」「万物の根源であり、万物に普遍的に内在するもの」「どこまでも遠くに広がり、必ず元の場所に戻るもの」などと言っています。
自然科学の法則は、現代においても未だにおぼろげな部分がたくさん残っています。いわんや、2000年の昔のことです。
道教ではお寺を道観といい、僧侶を道士といいます。道教は教学、方術、医術、倫理の4つに分けられます。
教学は、宇宙の成り立ちや法則を取り扱います。宇宙には三十五の天があり、天界には神々が住み、地獄もあります。
方術は、占星術、祈祷、お祓いなどの技術を学びますが、結構重要なのが呪いです。
医術は、養生、治療、調薬などですが、人間の生命力は「気」にあると考えているので呼吸法を大事にします。
倫理は、道徳です。徳を積むこと、戒めを守ることです。
道教は中国本土では共産党の宗教禁止政策で衰退して、現在は道観1500,道士2万5千人という規模だそうです。道教の正統は台湾に逃れて現在に至ります。台湾(中国の人口の1/60)には9000の道観があり道士は3万人おり、台湾人の1/3が何らかのかたちで道教を信仰しているということです。中国本土にもっと道教の信仰が残っていたら、今よりよい世界になっていたかもしれませんね。
