ナレッジマネジメントで著名な野中郁次郎氏が亡くなられた。
会社に勤めていた頃に勉強した、というか勉強させられました。日本発の経営理論で、世界で認められたのは、野中郁次郎と竹内弘高の共著「知識創造企業」だけかも知れません。トヨタ生産方式とかTQC/TQMのような、日本の経営手法は世界で賞賛を集めていますが、これらは実務的なものです。
野中郁次郎はもちろん優れた学者ですが、その経歴がユニークです。
昭和10年(1935年)に東京の下町に生まれた野中は、商業高校に進学するのですが算盤が苦手で卒業も危うい状況です。それでも進学を目指して複数の大学を受験します。唯一合格したのが早稲田の政経というから(早稲田にだけ合格したことと、経営学・経済学ではないという二重の意味で)驚きです。
大学を卒業して、富士電機に就職して工場などで働いた後に、米国に留学して経営学の博士号を所得します。帰国して大学教員になりますが、南山大学→防衛大学校→一橋大学→北陸先端科学技術大学と様々なジャンルの大学です。さらに、富士通・エーザイ・三井物産・セブン&アイなど大手企業の取締役を務め、2020年には中小企業大学校総長にもつきました。
一昨日のブログに書きましたが、1990年にアルビン・トフラーは世界のパワー・シフトは「知識」で起こると預言しました。遡って、17世紀の初頭にフランシス・ベーコンは「知識は力なり」と言い残しています。