米、野菜、果実の値上り。農家は辛抱してきたのです

ニュースで米や野菜の値段が高過ぎて大変だ!と盛んに報道されています。

 

確かに今秋以降、農産物の価格は大きく上昇しています。農水省の全国統計では、2024年11月の農産物価格は前年同月(2023年11月)比で17.2%の上昇です。

内訳は、米が前年同月比42.2%の上昇、野菜は30.4%、果実は10.3%、肉類は5.5%(前月より△3.6%)でした。下のグラフで、左側が農産物価格指数、右側が農業生産資材価格指数です。☞ 農水省 農業物価統計調査(令和2年基準)

 

米が高い、キャベツが高い、ミカンが高いのは、それぞれに要因があります。それらの要因が薄れていけば少しづつ落ち着いてくると思います。しかし、農産品全体としてみれば、現在の価格水準は適正と言えることもご理解ください。

 

この数年の農業経営相談では、農家さんの最大の悩みは「資材価格の高騰」と「販売価格の低迷」でした。農業生産コストが上昇しているのに、販売価格には十分に転嫁できず収益性が悪化していたのです。

 

右側のグラフをみてください。令和2年(2020年)を100とした場合の農業生産資材価格は令和4年(2022年)年初に110であり、年央には120になっています。さらに、その後もじりじりと上がっており、生産コストは高止まりしたままです。

 

これに対して、左側のグラフにあるように農産物価格は2020年を100として2022年は103程度、2024年でも年初は110程度だったのです。

 

農家サイドからの景色は、2020年以降ずっと続いていた資材価格高騰による経営悪化に対して、ようやく販売価格是正がいくらかできたというに過ぎないのです。

農家は何年も頑張ってきました。農産物の値上りは家計への影響もあるとは思いますが、日本の農業を守るためにも、ご理解いただければ幸いです。