トランプ大統領が2月1日から対中追加関税10%について検討していると発言しました。
トランプ大統領は、メキシコとカナダに対して25%、EUに対して10%、さらに全世界を対象としての関税強化を表明しています。関税については、ハッタリというか、厳しめな条件をほのめかしたディールという印象を持たれていたので、少し巻き返そうと、具体的な日程を口にしたようです。

トランプ大統領の関税政策に対する評価は、米国内外通じて定まってはいないようです。
例えば、中国に追加関税を掛ければ、確かに対中国の貿易赤字の縮小にはなります。
しかし、中国からの輸入を国内生産で代替できる部分は少ないので、中国以外(ベトナムとかメキシコとか・・)からの輸入が増えることになります。
通常は、現在の中国からの輸入よりも、割高というか不利な輸入になるので、米国全体の貿易収支は悪化します。
第一次トランプ政権は2017年から2020年です。トランプ1年目の2017年の米国の対中貿易赤字は3750億ドルでしたが、2021年は3080億ドルになっています。トランプ以降のトレンドとして、2017年以降のアメリカ対中貿易赤字は縮小しています。
替わって、ベトナム、アイルランド、メキシコ、カナダ、台湾、韓国、インドなどとの貿易赤字は拡大しています。日本やEU諸国はあまり大きく変動しません。
その結果、米国全体の貿易赤字は2017年の7924億ドルが2021年に1兆0711億ドルに増えました。2024年は11月までで1兆0827億ドルですから過去最高を更新しそうです。
どうも、いろいろな試算があるようですが、関税戦争の最大の敗者はアメリカ、というのが定説のようです。日本にも対米貿易でのマイナス影響はあるものの軽微で、むしろ漁夫の利を得る可能性があるといわれます。
GRIPSによる「トランプ関税がもし満額実行された場合」という極端なシミュレーションで、世界全体のGDPは-0.9%と景気が悪化します。
各国GDPはアメリカ-3.4%、中国-1.9%、カナダ-0.6%、メキシコ-0.1%と悪化しますが、アセアン+1.8%、台湾+1.0%、韓国+0.9%、日本+0.8%などはGDPがプラス側に良化する予測です。
要するに、トランプ大統領はほんとうには関税を、大きくは触ることはないと思われます。
当面は静観でしょうか?
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