紙の手形・小切手は2026年度末(2027年3月末)で廃止される予定です。
紙の手形・小切手には、➀現金が手元に入るまでの期間が長い、②支払期限前に現金化する際の割引料が高い、③振り出しなどの事務手続きが煩雑、④郵送料や印紙税がかかる、⑤紛失や盗難のリスクがある といったデメリットがあります。そこで、2027年度からは全面電子化される予定になっています。
紙の手形・小切手の発行廃止は2021年7月に公表されたので、既に3年以上が経過しました。一方で、2026年度末の廃止期限までは残り2年半を切りました。
紙の手形・小切手の交換枚数は2020年の月平均326万枚に対して、2024年10月は214万枚とほぼ2/3に減りました。月交換高は10.6兆円から6.7兆円になっています。
一般に、紙の手形・小切手の利用は元請企業に有利で、下請け企業に負担を押し付けるものと考えられます。下請法で支払手形サイトを60日以内にするように指導基準が厳しくなっていることもあり、中堅企業以上で紙の手形・小切手は順次廃止されてきています。
紙の手形・小切手の廃止は、概ねスケジュール通りのように見えます。
しかし、実際はこれからが大変です。
問題になるのが事業規模の小さい中小・小規模事業者です。特に、経営者や経理事務職員が高齢化している場合には、デジタル化が容易にはすすみません。また、会社によっては取引先の大半が中小企業・小規模事業者どうしという場合もあり、同規模企業間での格差も生じます。
中小企業・小規模事業者がネットバンキングやでんさいだけを導入しても、経理事務の効率化や生産性の向上にはあまり貢献しません。債権債務管理とデジタル化が一体となるようにすることが必要です。