DX(デジタル・トランスフォーメーション)の起点になった2018年9月の経産省DXレポート で「2025年の崖」を復習してみましょう。
①データを活用できず、DXを実現できないため、市場の変化に対応して、ビジネスモデルを柔軟・迅速に変更することができずデジタル競争の敗者になる。➁システムの維持管理費が高額化し、IT予算の9割以上に(技術的負債)。③保守運用の担い手不在でシステムトラブルやデータ減失等のリスクの高まり。という状況になり、2025年以降は年間12兆円の経済損失が発生する。これが『2025年の崖』。
![2025年の崖(経産省 DXレポート2018)](https://image.jimcdn.com/app/cms/image/transf/dimension=683x10000:format=jpg/path/sa3592213af7de219/image/i57aad0cb0e53623d/version/1681185691/2025%E5%B9%B4%E3%81%AE%E5%B4%96-%E7%B5%8C%E7%94%A3%E7%9C%81-dx%E3%83%AC%E3%83%9D%E3%83%BC%E3%83%882018.jpg)
さて、2025年まで残り2年ですが、本当に『崖』が待っているのでしょうか?
2020年12月に経産省DXレポート2として、2021年8月にはDXレポート2.1(追補版)中間報告が出されました。以下がまとめです。
![](https://image.jimcdn.com/app/cms/image/transf/dimension=683x10000:format=jpg/path/sa3592213af7de219/image/ib458c3dbb189fb88/version/1681190687/image.jpg)
2020年12月や2021年8月の時点では経産省が思い描いたようなDXの結果にはなっていないようです。DX2では、コロナ禍でDXの必要性・緊急性が高まったと評価しています。また、コロナ禍を契機とした変化は不可逆的なものだと解析しています。
DX2レポートの内容は、ポストコロナを迎えつつある2023年4月では、既に陳腐化している感もあります。レガシーシステムやらレガシー企業文化を脱却すべきものと断言しているのにも違和感があります。印象として2025年の崖もうやむやになっています。最近は、DXが半導体製造とデジタル産業(クラウドビジネス?)に焦点が向けられているようにも思えます。
そもそもは、DXの目的を企業競争力の強化に置いたことが、DXと中小企業の実務を結びつけるのを難しくさせます。シンプルには、企業価値の向上(あるいは創造)と考えるべきと思います。そうであれば、アイディアも湧いてくるかもしれません。いずれにしても、DXは説明し難く、経営者さんにわかってもらい難い概念です。