ぼ~っとはしてられない。エネルギー価格高騰と電力料金の仕組み

エネルギー価格の高騰が小規模事業者や中小企業の経営を圧迫しています。

 

今日は、電力料金がどうやって決まるかを解説します。現在は輸入燃料価格が高騰したことで、電力料金の本体料金より燃料費調整額と再エネ賦課金を合わせた額の方が高いという、これまでにはなかった異常な状況になっています。

 

財務省の通関統計で2021年1月から2022年10月までの燃料の輸入価格の推移をグラフにしてみました。原油は3.3倍、天然ガスは4倍、石炭は6倍になっています。今後は、需給も安定してきたうえに、円安も止まったので、少し価格は下がるとは見込まれますが、高値水準にあることは変わりません。

 

電力料金は次のような式で決まります。

電気料金=基本料金+従量料金+再エネ発電促進賦課金±燃料費調整額

 

最初の基本料金+従量料金が本体料金です。

 

再エネ発電促進賦課金(再エネ賦課金)は、太陽光発電など再生可能エネルギーで発電した電力を固定価格で買い取る制度があります。FITといわれるものですが、電力会社が買い取る際に高い価格になるので、これを電力需要家が負担する仕組みです。

現在は、電力1kWh当り3.45円です。再生可能エネルギーによる発電容量が増えていくので、毎年(2030年頃までは)単価が上がっていきます。

 

中国電力 燃料費調整額
中国電力 燃料費調整額

燃料費調整額は、日本の発電用燃料(石油・天然ガス・石炭)はいずれも価格変動が大きく、且つ海外からの調達で為替の影響を受けます。

電力会社の経営を安定させるために、燃料費の変動を調整する必要があります。燃料費が高くなれば燃料費調整額はプラスとなり、逆に低くなればマイナスになります。

 

実は、このところ燃料費は安値で安定していました。2021年9月に値上がりが顕著になる前の7年ほどは、燃料費調整額はずっとマイナスだったのです。

 

コロナからの国際経済の回復による需要増で燃料費が上昇に転じた後、2022年2月にロシアのウクライナ侵攻が起こり、燃料費が大幅に上がりました。この結果、燃料費調整額がどんどん膨らんでいます。

 

例として、ちょっとした飲食店さんのケースです。

中国電力のビジネス(低圧動力)契約を容量40kWでしていて、月に10,000kWhの電力を使ったと仮定した試算です。(燃料費調整額は2023年1月)

電力の本体料金は17万8千円ですが、燃調と再エネ賦課金を合わせた額は18万6千円となり、本体価格を超えています。合計は36万5千円です。

少し前までは燃料費調整がマイナスだったので、2年前(2021年1月)だと支払う電気料金は約15万3千円でした。同じだけ電気を使っていても、今は2倍以上、21万2千円も電気代が高くなります。

ガス代や灯油代なども同じように値上がりしていますから、ボ~っとしてはおられません。