いつも海峡は歴史の舞台になる

三連休の三日目。関門海峡は猛烈な風です。

 

本州と九州(下関と門司)を結ぶ関門海峡は最も狭いところは僅か650mしかありません。九州側のめかりSAの展望台からみると、門司港も下関港も平等に眼下に広がります。潮流表示は「E・6・↑(東流・6ノット・加速中)」ですが、風のせいもあって海峡の潮の流れはもっと速いようにも見えます。1ノットは時速1.85㎞ですから6ノットは約11㎞/h。

 

アサキマダラ
アサキマダラ

海峡は交通の障害にも要衝にもなり、多くの歴史がつくられ、深いロマンがあります。関門海峡も、神話の時代から近年まで、平和の舞台にも争いの場にもなってきました。

 

クリミア大橋がかかるケルチ海峡は最も狭いところは3.1㎞です。ロシアが無理やり併合したウクライナのクリミア半島と、ロシア南部タマン半島の間にあって、黒海とアゾフ海を分けています。

 

英仏海峡(ドーバー海峡)は最も狭いところで34㎞です。総延長50.5㎞のトンネルでイギリスとヨーロッパ大陸が結ばれています。津軽海峡は最も狭いところは幅18.7㎞ですが、青函トンネルの総延長は53.9㎞と英仏海峡トンネルよりも長いです。

 

統一教会絡みで話題になっている対馬海峡は全体の幅は約200㎞あります。但し、対馬と壱岐という二つの大きな島を経由するので、日韓トンネル構想では、最長のトンネルの長さは60㎞余りになるそうです。

緊張が高まっている台湾海峡は狭いところで約130㎞です。砲弾が届く距離ではありませんが、ロケットなら悠々届きます。アメリカがウクライナに供与して大きな戦禍を上げているロケット砲ハイマースの最長射程は300㎞でそうです(但し、ウクライナには80㎞に制限したものを提供)

 

最後に海峡といえば、安西冬衛の一行詩「春」です。

「てふてふが一匹韃靼海峡を渡つて行つた。」

 

韃靼海峡は、ロシアとサハリン島の間、タタール海峡のことです。最も狭いところが間宮海峡で幅は僅かに7.3㎞です。アサキマダラの群れが、ユラユラと渡っていける距離です。

歴史に if はありませんが、広義の場合は日本列島に含まれるサハリン島(樺太)が今も日本領であったら、この海峡はどんな歴史の場になったのだろうかって考えます。