エネ価格高騰!調理場の省エネが経営をたすける

ホテルや旅館などの省エネ診断では、調理場への提案はなかなか難しいものがあります。

 

調理場は板長さんが支配する世界で、経営者さんといえども容易に介入し難いものがあります。水光熱費の削減について、調理場としっかり話をして、相互理解ができていない場合もあります。しかし、ガス代や電気代がこれだけ上がってくると、経営に対する影響が大きいので、調理場での省エネも考えないといけないです。

 

実は、調理の省エネのネタはたくさんあります。

家庭の調理では、鍋の水滴を拭き取ってからコンロにかける(水を蒸発させるエネルギーをムダにしない)、コンロに点火するのは鍋を置いてから、鍋は平底を使う、炎を鍋底からはみ出させない、などに気をつけている人も多いでしょう。チマチマしていて、何となくプロっぽくないですが、意外に効果はあります。

 

家庭では、野菜などの下ごしらえに電子レンジをうまく使っている人も多く、これはかなりの省エネになりますが、プロの調理場では電子レンジをあまりみません。個人的には、電子レンジに限らず、マイクロ波加熱は調理の省エネには有効な手段と思うのですが、あまり普及していません。

 

一方で、家庭より調理場が進んでいるのは、冷凍冷蔵庫の使用方法のような気がします。省エネ診断で見ることがあるのですが、冷蔵庫に食材をいっぱい詰め込んでいるところはありません。たいてい整然と整理されていて、調理する人が内容物をしっかり把握しているので、作業中の扉の開閉時間も実に短くて、動作にもエネルギーにもムダがありません。

 

逆に気になるのは、水の利用です。調理場の水道蛇口は大きくて大量の水が流れます。洗面所などでは節水栓、浴室では節水シャワーを使っても、厨房の水は制限しないのが普通です。

水はつくるのにも処理するにも大きなエネルギーを使いますから、ムダに流し放しにはしないようにしたいです。

 

そうはいっても、食洗器(食器洗い乾燥機)の利用が定着したことで、水のムダは減っていると思います。そこで、食器の残菜を丁寧に捨てる、できるだけまとめ洗いをする、洗浄後の余熱を乾燥に使う、など省エネへの配慮を一層していきたいところです。