救急の日「自損行為」での救急搬送だけが増えている

9月9日は「救急の日」です。片側2車線の道路で信号待ちしていたら後ろから救急車が・・。

 

それぞれの車線のクルマが左右に分かれて、真ん中を救急車が通っていきました。私は偶々先頭だったので、端に寄るのは簡単だったのですが、後続車はちょっと大変だったかも知れません。皆さんの協力で、患者の救急搬送は担保されています。

 

救急出動件数と搬送人数
救急出動件数と搬送人数

消防庁の統計で、救急出動件数と搬送人数をみてみると意外なことがわかります。

 

先ず第一に、基本として救急の件数は右肩上がりに増えています。大雑把に、20年間で1.5倍です。

これは、この間に日本の総人口はほぼ横ばいですが、高齢者人口が1.6倍増えていることで概ね説明できそうです。

 

第二に、リーマンショックのあった平成20年・21年(2008年・2009年)に救急搬送が減っている。また、新型コロナ騒動に見舞われた令和2年(2020年)以降の救急搬送が減っている。社会生活の変化が救急搬送に影響を与えることがよくわかります。

 

新型コロナの影響による救急出動件数の変化をよく見ると、ちょっと衝撃的です。

類型別救急出動件数対前年比
類型別救急出動件数対前年比

表は、2019年と2020年の比較です。

出動件数で最も大きく減っているのが「運動競技」の43.3%です。2019年に4万2千件だったものが2万4千件を下回っています。救急出動件数なので、減ったことが悪いとは言えませんが、運動競技に取り組む若者が減ってしまったことを端的に表しています。

 

次に減少率が高いのが「交通事故」です。43.2万件から36.6万件と15%も減ったのは人流抑制のたまものでしょう。尚、交通事故はこのところ毎年5~8%ずつは減っているので、15%がコロナ分ではありません。

 

高齢人口の増加に伴って増えていた「急病」「転院搬送」が減ったことは新型コロナの影響がありそうです。パンデミックに急病人が減るのもちょっと変ですが、軽症であれば救急搬送を依頼しないようになりました。「急病」全体の減少率は11.2%ですが、重症者の減少は5.8%で、軽症者の減少が15.9%でした。

 

最後にこの表で唯一前年比で増加しているのが「自損行為」です。2020年に2651件増えました。2021年はさらに792件増えています。「自損行為」での救急出動は前年の2019年にも292件増えていたのですが、トレンドとしては減少を続けていたので残念です。

新型コロナ騒動(だけじゃないかも知れませんが)の負の側面のように思います。