静かな時限爆弾 アスベスト。不織布マスクは?

建設会社の方と話していたら、アスベスト(石綿)の事前調査結果報告が義務化されたのが、面倒でねぇ~ということです。

 

工場に勤めていたので、若い頃にはアスベストが入った資材(保温材など)を結構使っていました。まぁ、小学校のときにアルコールランプでビーカーの中の液体を温めるには石綿付き金網というのを使っていましたよね。25年くらい前からアスベストの発がん性が問題になってきて、2006年に原則使用禁止になりました。う~ん、今さら言われても?って感じでした。

 

アスベスト(三菱化工機のwebサイトより)
アスベスト(三菱化工機のwebサイトより)

アスベストの健康被害は、暴露したからすぐに表れるようなものではなく、何十年もかかって顕在化するそうです。日本で、中皮腫の発生がアスベストとの因果関係が確認された経緯からは、暴露期間が10年としても15~40年の潜伏期間があるようです。

 

過去の建物や設備にはたくさんのアスベストが使用されています。防火・防音・断熱などの高い性能が重宝されていたうえに、危険性の認識が全くなかったのですから当然です。

環境省によると、日本国内のアスベストを含む建物の解体や設備の廃却では、2020年から2040年がアスベストが最も多量に放出される時期だということです。このため、建設会社に建物の改修や解体をおこなう際の事前調査とその結果報告が義務付けられたわけです。

 

話が変わって、マイクロプラスチック(MP)問題があります。廃棄されたプラスチックが、海洋や大気中で分解されて微細な粒子になるというものです。海では、魚が海水と一緒に吸い込んだMPが、食物連鎖で大型魚や海鳥に蓄積していくという問題です。レジ袋有料化の理由ですよね。アスベスト同様に、MPの被害が顕在化するのも、逆にレジ袋有料化の効果が出るのも長い年月がかかります。

 

さらに話が変わって、コロナのマスクです。2020年の流行初期にマスク不足という問題が発生した際に、マスク(不織布マスク)は、紙ではなく石油樹脂でできているから、増産は可能なので慌てないで!という報道がありました。そして、その後に使い捨てマスクの安易な廃棄が、海洋マイクロプラスチックに発生源になっているという話が出てきました。

さらに、アベノマスクを揶揄するために布マスクは効果がないという怪しいキャンペーンがおこなわれて、不織布マスクを使うことが推奨されました。

 

不織布マスクの原料は合成繊維、つまりプラスチックです。種類にはいろいろあるようです。シェアがよく分りませんが、PP(ポリプロピレン)、PE(ポリエチレン)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PU(ポリウレタン)など様々なプラスチックが使われています。

 

大気中のマイクロプラスチックは呼吸によって人の肺にも入り込みます。肺の疾患で亡くなった方の肺を調査したところ、マイクロプラスチックとなったPUやPETが検出されています。(マイクロプラスチックが健康被害をもたらしたわけではなく、肺の調査をするのが肺の疾患で亡くなった方ということです。)

 

ちょっと気になるのは、日本人のマスク好きです。15~40年経った後に、世界で日本人だけに肺に異常が出る人が増加した。詳細な調査をしたところ、2020年以降の日本人が常時プラスチック製のマスクを通して呼吸していたため、肺に蓄積するマイクロプラスチックの量が増えたのが原因だった、なんてことは起きないですよね?