亀は万年の劫を経て仏になる

江戸金は下関市の和菓子店です。160年前、幕末の1862年 (文久2年)に創業しました。

 

現在の当主は79歳。5代目に当たるそうですが、売上高の減少と後継者不在が重なって3月末で廃業されました。下関市では最も古い和菓子店なので、少し残念に思います。ただ、160年の間に江戸金から分かれたお店も、県内にはいくつかありますから、伝統は引き継がれていくのだろうと期待しています。

 

江戸金 亀の甲せんべい
江戸金 亀の甲せんべい

江戸金の主力商品は、創業の頃から「亀の甲せんべい」です。金色の亀と亀山八幡宮が描かれた金属缶は、レトロな雰囲気で根強いファンもいたようです。

 

創業した文久2年というのは、下関戦争の2年前です。毛利藩が攘夷のために、下関に砲台を築いていた時代です。

 

NHK大河ドラマ「龍馬伝」では、慶応元年(1865年)に桂小五郎と会談するために下関に来た坂本龍馬が、江戸金の亀の甲せんべいを食べている場面があったそうです。

 

私の古巣の会社は来年創業200周年を迎える予定です。自然人ではない法人には、寿命が無いので長く経営が続けられることは望ましいです。

日本には100年以上続く長寿企業が3万5千社もあるのだそうです。上場企業でも、16世紀の創業が松井建設と住友金属鉱山、17世紀には養命酒、田辺三菱製薬、住友林業などが創業しています。

山口県では、1604年に創業した亀屋製薬(薬局)をはじめとして、100年企業は450社ほどのようです。

 

どんな会社にも危機は訪れます。長寿企業というのは、そういう危機を乗り越えるノウハウやなど何かを持っていたのだと思います。そんな数々の危機を乗り越えてきた長寿企業でも、新型コロナ危機を乗り越えるのは、なかなか容易ではないようです。

特に経営者の高齢化と後継者不足は、クリアするには厳しい課題です。