BCP、地震による停電リスクをどう評価するか?

東京電力管内の1都8県に「電力逼迫警報」が出されましたが、停電の発生は回避されました。

 

3月16日深夜に福島沖で発生した最大深度6強(M7.3)の地震によって、東北から関東の16基の火力発電所(出力合計677万kw)が大きな振動を感知して緊急停止しました。その後、被害が無かったり、軽微であった発電所から順次再稼働しておりましたが、今日現在で未だ6基(335万kw)が停止したままです。電力供給が細っているなか、季節外れの寒波襲来があり電力逼迫となりました。

 

電力逼迫警報(2022.03.22)
電力逼迫警報(2022.03.22)

今回は幸いなことに大規模停電には至らなかったのですが、大地震が発生すると大規模且つ長期間の停電が発生する可能性があります。BCP(事業継続計画)において、どの程度の停電まで想定しておくべきか、考えておくのもよいと思います。

 

東日本大震災では、28基の火力発電所が停止しました。5基は翌日には復旧しましたが、12基は1か月以上の休止となりました。原町火力1号機が最も長く休止して、復旧までに777日を要しました。

 

今、最も危険性が高いのは南海トラフを震源とする巨大地震です。想定される規模の地震が起きた場合、四国電力管内の発電所は最大450日、関西電力管内の紀伊半島の発電所では最大750日の休止が予想されています。

この場合、関西電力や中部電力・中国電力では、発電可能量が80%まで回復するのに震災後2~3ヵ月と予想されています。最も被害が大きい四国電力は1年経過後でも、発電可能量の1/3くらいしか回復できず、他の電力会社からの融通が必要になります。

 

山口県の企業の場合、地震の揺れによる直接的な被害がなくても、その後の停電に見舞われたり、電力逼迫による減産を余儀なくされる可能性は高くなります。

BCPの検討に一定期間に及ぶ停電を入れておくことは大切です。南海トラフ巨大地震を対象とするなら、1~2週間の完全停電、1~3か月の電力使用規制、半年程度の省電力稼働の継続くらいの想定が妥当かも知れません。