「新しい資本主義」古い資本主義をおさらいすると見えてくるもの

岸田首相が「新しい資本主義」と言っていますが、内容は判然とはしません。

 

新しい資本主義があるなら、当然ながら「古い資本主義」があるはずです。私のような非専門家では、古い資本主義とは、先ずは「古い社会主義」の対義語としてあります。社会主義は狭義の社会主義と「共産主義」に分類されるのですが、共産主義が合理的な経済システムでは無いことは数十年前に証明されています。現在では、共産党と名乗って(例えば、中国共産党)はいても共産主義経済を目指してはいません。

 

公明党公式webサイトより
公明党公式webサイトより

岸田首相が古い資本主義のどこを修正して、どんな新しい資本主義を目指そうと言うのかは、まだ霧のなかです。

 

内閣府や首相官邸のwebサイトにそれらしい資料が掲載されています。 

「新しい資本主義」の論点として、➀我が国の抱える構造的な課題を克服する。②成長と分配の好循環で、分配の原資を稼ぎ出す「成長」と次の成長につながる「分配」を同時に進める。とありますが、なんのこっちゃ?です。

 

フレームワークとして経済思想を考えれば、社会主義と資本主義に大別できます。日本が、社会主義やましてや共産主義国家になることは考えられません、資本主義は完全な仕組みではないですが、少なくとも社会主義よりは進歩したものであることは確かです。立憲民主党の選挙戦略の誤りは、やはり共産党(という名前の政党)との協力に合ったこと否めません。

 

さて、古い資本主義には2つの類型、ハイエク型(リバタリアニズム)とケインズ型(リベラリスト)があります。

ハイエク型は自由主義・保守主義といわれるもので、経済は自由にしておくと安定するという考え方です。小さな政府が貨幣政策のみをおこない、市場に経済の動きを委ねる考え方で、右派(中道右派)政党の思想に近くなります。ケインズ型は、経済は自由にしておくと混乱し不安定になると考えます。大きな政府が財政金融政策をおこなって、積極的に市場の動きをコントロールします。福祉国家や社会民主主義を目指すので、左派(中道左派)政党の思想に近くなります。

 

日本の政党でいえば、本来は自民党がハイエク型、民主党がケインズ型です。アメリカでは共和党がハイエク型で民主党がケインズ型。イギリスであれば、保守党がハイエク型で労働党がケインズ型です。・・と、言えればすっきりします。

 

アベノミクスは本質的には日銀を使った金融政策中心なのでハイエク型だったのですが、異次元の緩和と言いながらも、遅すぎ・小さすぎでうまくいきませんでした。そこで、なんだかんだとこじつけて、バラマキ政策に突き進みます。本来は、民主党が主張するべき政策を自民党がするもんですから、ここから離れるには共産主義に近づくしかなかったというのが枝野さんのホンネかも知れません。

 

今回の子どもに10万円給付するという課題でも、先般の消費税の軽減税率でも、わかるように経済思想的には公明党はケインズ型です。自公連立政権の経済政策は、多分に公明党の考え方に影響されています。

今回、立憲民主党の新代表に泉さんが就任されました。泉さんが、野党共闘して政権を担える政党に育て、二大政党制を目指すのであれば、というならば立民・国民+公明という中道左派連立を目指すのが筋のような気がします。共産党は排除して・・という意味ですが。

 

枝野さんが、選挙戦で「民主党政権3年の経験者がいるから政権運営は大丈夫だ」と語って、むしろ票を失いました。公明党も組織の老齢化が問題になっているようです。それでも、与党として20年以上のキャリアがあり、人材の宝庫です。

中道右派:自民 vs 中道左派:民主+公明 の二大政党制を目指してもらえれば、少なくとも思想的にはわかりやすくなります。

 

そのうえで、どんな「新しい資本主義」を目指すのか・・?です。

参考にしました。☞ 「そして誰もがケインジアンになった」西 孝