大谷翔平は”反ランチェスター理論”なのか?

世界で、日本で、最も支持されている経営理論がランチェスター理論です。

 

弱者が強者に勝つための理論と総括されますが、最初から強者である経営者はいません。強者に成り上がるまでは、みんな弱者なのでランチェスター理論を活用します。ランチェスター理論については多くの書籍があり、セミナーも頻繁に開催されていますが、簡単に言えば、何かの領域で「№1を取れ(ビジネスなら№1のシェア)」と言うことです。

 

大谷翔平の二刀流
大谷翔平の二刀流

№1というのは、順位が一番目という意味ではなく、2番目以降を大きく引き離した圧倒的なトップのことです。

そんなことできるはずがない!と思わないでください。ここでのポイントは、”何かの領域で”という限定です。

 

例えば、世界のビール業界で№1になることはすぐにはできなくても、宇部市の地ビール№1なら手が届くかもしれません。

ヨーロッパで飲まれるハチミツビールとか、アメリカ大陸のサボテンビールだったら、日本で№1も可能性無しとは言えません。

狭い領域での№1というのを言葉を変えると「差別化」となるわけです。

 

№1になるには、集中することが大切で、あれもこれもと手を出すと成功しません。

野球で言えば、イチロー選手はヒットを打つことに集中し、あまりホームランを狙いませんでした。イチローがホームランだけを狙えば、年間40本くらいは打てたのではないか?という説もありますが、4367本のヒットという圧倒的№1にはなれなかったでしょう。

 

王貞治選手もホームランでなくヒットを狙えば、さらに300本の安打数を積み重ねて張本選手を抜いていたかも知れませんが、2位の野村克也選手を200本以上引き離した868本のホームランは打てなかったでしょう。

 

ランチェスター理論で言えば、大谷選手の二刀流は間違っているでしょうか?

もし、今シーズンを投手に専念していたら15勝以上していたかも知れません。野手(DH)に専念していたらホームランキングは確実だったでしょう。

しかし、両者をバランスよく勤めたことで、チームの勝利数への貢献という評価は、MLBでも圧倒的な№1だったそうです。

 

中小企業の経営では、大谷選手のような戦略は結構リスクがありそうです。よく考えてみたい教材ですね。