定年年長の義務化。労働災害を増やさない配慮が必要

2025年4月から65歳定年制はすべての企業の義務となります。また、「労働者の希望があれば、最長70歳まで定年延長できるようにすること」が企業の努力目標となっています。

 

少子高齢化社会の日本では経験豊富なベテランに活躍してもらうのは当然の政策のように思います。しかし、労働安全衛生という観点からは懸念が払しょくできません。年をとるにしたがって、体力も衰えますし、認知機能なども低下していきます。労働安全衛生上の懸念が高まっていくのも、また当然なのです。

 

労災死傷者の年代別割合
労災死傷者の年代別割合

上のグラフに示したように、2020年の労災死傷者(4日以上休業した負傷者あるいは死者)の27%が60歳以上でした。私が働き始めた頃は60歳以上の労災死傷者は全体の11%でしたから、大幅に増えています。

 

もちろん、60歳以上の働く人の数が増えているから、死傷者も増えているというわけで、不思議なことではありません。しかし、それでも気になります。

当時は、60歳以上の人には高所作業はさせてはならないとか、危険作業には従事させてはならないとか、工場の規則でいろいろ決まっていました。今の工場で、そんなルールを決めたら仕事にならないでしょう。

 

自動車を運転中に意識を失ったり、ブレーキとアクセルを踏み間違えたり、高齢者による事故はたくさん報告されています。高齢者の事故は、自らの死傷の原因になるだけでなく、二次三次の被害を誘発することもあります。

 

免許返納を奨めるような報道は多いですが、高齢者の就労拡大に対する事故の発生に注意喚起されることは少ないでしょう。働き方改革や人生100年時代のキャッチフレーズで高齢者雇用は増大していきます。そんななかで、労働安全衛生への配慮は益々重要になっていきます。

ベテランだからミスをしない!というのは、全くの迷信です。とりわけ、中小規模のものづくり企業では、高齢者の労働安全衛生には格段の配慮が求められます。