工業製品も地産地消するしかない~コロナショックに学ぶ~

いまや新興工業国となったベトナムやマレーシアでの各国での新型コロナ拡大が、トヨタをはじめとする自動車メーカーのサプライチェーンの断裂につながっています。

 

自動車のワイヤーハーネスと言えば住友電工や古河ですが、実際の生産はベトナムやフィリピンで大半がおこなわれています。マレーシアと自動車にはあまり関係がないように思っていたら、自動車用半導体の加工や検査などの工程はマレーシアにありました。

 

トヨタショック
トヨタショック

東日本大震災のときも自動車産業は大きなダメージがありました。

住金鹿島が被災して、自動車用鋼板の供給が止まったといったわかりやすいことだけでなく、自動車制御用マイコンの小さな部品をつくっていた宮城県の町工場が津波で被災して・・といった、かなり意外な少々わかりにくいサプライチェーンの欠損もありました。

 

トヨタはグローバル生産を9月には4割落とすということです。ダイハツも2割、ホンダ、日産、マツダなども軒並み生産調整に入っているようです。ただ、ジャストインタイムを極めたメーカーほど被害が大きいという皮肉な現象のようにみえます。

 

不測の事態にサプライチェーンを維持する方法はいくつかあります。最初に思いつくのは、代替生産拠点を複数持っておくことです。A工場が被災してもB工場から供給というわけですが、仮におなじくらいの供給能力がある工場を2つ抱えるならコストは2倍になります。

 

そこで部品の共通化をして、トヨタもホンダも日産も同じ部品を使うことにすれば、A工場~D工場の4工場を維持して、そのうち3工場を稼働させるような計算になりコスト増は許容できるかも知れません。もちろん、熾烈な技術開発競争をしている自動車メーカーでは、簡単にいくはずがありません。

 

サプライチェーンの維持は難しい問題で、明確な解答はありません。しかし、コロナショックでひとつだけ確かになったのは、絶対にこれでなければならないという重要部品は少なくとも国内で調達できるようにしておくことです。工業用品の地産地消です。

 

新コロ騒動の初期に、日本で使用されているマスクの大半が中国製だったことがわかりました。慌てて国内生産を増やしましたが、今では流通しているマスクはやっぱり中国製に戻っています。何かあれば国内でもすぐに生産できるのであれば、これはこれでも良いのですが、ちょっと心配です。

 

自動車のような工業分野でも、健康や衛生などの分野でも「重要部品」が何であるかを峻別して、地産地消体制を構築することが必要です。