ブライダル産業はいつまで耐えられるか

結婚式の数が大幅に減っています。さらにその規模が大幅に縮小しています。

 

コロナ騒動によって、結婚するカップルの数がそもそも減っています。結婚するとしても、招待客を呼んで結婚式を開くことを止めるカップルも増えています。また、結婚式を開くとしても出席者の範囲をごく内輪に絞るケースも増えています。

 

国の「特定サービス産業動態統計調査」から、結婚式場業の状況をみてみます。

この調査は、全国の大手の結婚式場業約300者をピックアップした調査です。この範囲で、全国の結婚式場業の総売上のおよそ70%がカバーされています。

つまり、ブライダル大手の状況です。逆に言えば、中小零細事業者の状況は反映されていないことに注意です。

 

さて、グラフをみて一目瞭然ですが、2020年3月以降、結婚式場業の売上高も取扱件数も大きく減っています。

2020年1月と2021年1月を比較すると、結婚式場の取扱い件数は5,976件から2,008件と66%の減少。売上高は183億7千万円から51億円と72%の減少です。結婚式1件当たりの売上高は、307万円から254万円と安くなっています。

 

つまり、事業規模がいきなり1/3になったわけです。しかし、それでも雇用者の状況は耐えています。正社員の雇用はほぼ完全に維持されていますし、パート・アルバイトの雇用も概ね確保しています。

 

雇用調整助成金などの活用で、事業者が何とか踏ん張っている様子が垣間見えます。コロナに対する緊急事態宣言の解除は、当然の決定ですが、雇用調整助成金の終了という現実が近いということでもあります。

アフターコロナのブライダルの状況によっては、予断を許しません。コロナ騒動によって、多くの日本人の意識が変わりました。結婚式に対する感覚も変化したことから、従来型の演出をしていては、その結婚式場が支持されなくなりそうです。知恵の絞りどころです。

 

もう一つ、このグラフでわかるのは”派遣受入れ”の減少です。結婚式は季節変動の多い事業ということで、繁閑の差を埋めるために派遣従業員を受け入れていたという側面があります。一方で、司会や演出などで専門性のあるフリーランスの活躍の場でもありました。

この部分が大きく減少していることは心配です。