稼働率が下がるとエネルギー原単位が悪化する

日本政府は、国際線の飛行機の搭乗率を50%以下にするように各航空会社に申し入れをするそうです。

 

日本は島国なので海外から入国するには、飛行機か船を使うことになります。船は速度が遅いので、普通は飛行機が利用されます。近年の飛行機は技術がとても進歩したことから、低燃費で省エネになっています。しかし、搭乗率を下げてしまうと省エネ効果が消えてしまします。

 

航空機への給油
航空機への給油

2020年12月の航空輸送統計調査の速報が出ていました。

この1か月で国内を航空機が運んだ旅客は36.6億人・㎞です。輸送した人数×輸送した距離の総和です。

 

この期間に使用された航空機用燃料が合計で25.7万㎘でした。これを割り算するとエネルギー消費原単位になります。

25.7÷36.6=7.0ℓ/1000人㎞となり、旅客1人を1000㎞運ぶのにになります。およそ、羽田空港から福岡空港までのフライトです。

 

この、7.0ℓ/1000人㎞という原単位はとても悪い値です。昨年、2019年12月のデータでは、日本国内の旅客は79.0億人・㎞と今年の2倍以上もありました。今年はコロナ騒動の影響で航空機利用が大幅に減っているのです。2019年12月の航空燃料使用量は36.2万㎘でしたから、原単位は36.2÷79.0=4.6ℓ/1000人㎞でした。

つまり、エネルギー消費原単位がコロナ騒動によって4.6から7.0へと50%以上も悪化したというわけです。

 

同じ計算を2007年12月のデータでやってみます。この月の旅客は64.5億人・㎞で、使用した航空燃料は36.4万㎘でした。同じ計算をすると、エネルギー消費原単位が5.6ℓ/1000人㎞となります。すなはち、2007年から2019年までの間に、エネルギー原単位は5.6から4.6へと20%近くも向上していたのです。

 

コロナ騒動によって毀損したものは数多くありますが、省エネに向けた多くの人々の叡智もその一つです。