磁気記録の再生が可能なのはあと何年か?

ユネスコが2019年に「マグネティック テープ アラート」を発出して8年です。

 

VHSやβのビデオテープなど磁気テープに記録され保存されている映像や音声などのデータが、将来において取り出せなくなることを警告しています。

もっと古い時代の写真や映画フィルムとかアナログレコードは、原理が単純なので現代においても再生することが可能です。磁気テープは、アナログとデジタルの狭間にあって、再生機器や技術が失われると記録が取り出せなくなりそうです。 

 

マグネティック テープ アラート
マグネティック テープ アラート

現在、日本を含む世界各国で磁気テープにのみ残っているソースデータをデジタル化して保存する活動が進められています。

しかし、現時点ではユネスコが掲げた目標に対して3~4割の進捗のようです。恐らく最終的には5割弱の進捗で終わりそうで、未来に残したいデータの半分は喪失されると思われます。

 

さて、磁気テープはベースフィルム(テープ)の上に磁性塗料を塗布したものが一般的です。私のもとの会社では磁気記録用材料(磁性体)を製造していました(今も一部製造しています)。無機物である磁気記録材は強固なもので、記録を喪失するほどの劣化はありません。

 

問題はベースフィルムや磁性塗料を構成している有機物・樹脂類です。有機物はどうしても劣化が避けられません。フィルムの延びや歪み、塗料から磁性体の剥離なども起こります。また、それ以上に課題なのは、再生機器や技術が無くなっていくことです。新たな技術者が育成できるわけでもありませんので、時間との闘いです。

 

そして、最大の懸念はデータを保管している側の保存への活動です。国公立の図書館や国立大学ではデータの保存に力を入れているようですが、費用や人材に課題がありそうです。

一方で、民間の報道機関や放送局などは、データの保存にあまり積極的ではない印象があります。まぁ、儲からないことはできないわけですから、原始データを保存できる機関に早めに譲渡しておくことかなぁと思います。

 

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