「期限の利益」は喪失するも放棄するもやっかい

「期限の利益」という不思議な用語があります。 

 

中小企業診断士は法務の専門家ではないので、ごく大雑把に「期限の到来までは債務の履行をしなくても良いという利益のこと」と理解しています。簡単に言えば、支払わないといけないお金を支払わずに済む期限や、借りたお金を返すまでの期限があれば、その間は支払う側・返す側にはメリット(利益)があるというわけです。

 

会計
会計

例えば、商品を受け取ったが支払は翌月末でいいですよ、となればその間は、そのお金が他に使えます。お金を借りた場合に、返すのは1年後でいいですよ、とか10年間かけて毎月返してくれたらいいですよ、も同じで、その期間には利益があります。

 

一方で、「期限の利益の喪失」というのがあります。簡単に言えば、期限を待たずに支払わなければいけなくなる、返さないといけなくなるような場合です。

 

利益を受けている側が、契約に違反したような場合には期限の利益を失うことがあるのです。これは、一般的には契約書で定められています。

商品の取引では、「代金の支払遅延などの一定の事由が発生した場合に、支払期日前でも支払期日の到来していないすべての売掛金について直ちに支払いを請求することができる」といった条文が一般的です。借金の場合でも、借主の経営が破綻するような状況が明らかになれば、貸主は期限を待たずに返済を請求することができます。

 

逆に、「期限の利益の放棄」というのがあります。商品の代金を期日前に早く払うとか、借金を期日前に繰り上げして早く返済するような場合です。「期限の利益の放棄」は、債務者の意思で自由におこなわれるのが当たり前のように思います。実際に民法でも原則は自由です。

 

「ただし、これによって相手方の利益を害することはできない」と民法にあります。これは、例えば高利の貸付を繰り上げ返済されると、貸主からすれば期待していた利息収入が無くなります。それを防ぐために、繰り上げ返済にいろいろと制限を掛けているようなケースです。

いろいろややこしいのです。