今から900年ほどの昔、中国・北宋時代末に廓庵という禅僧が「十牛図」を考案しました。
十牛図は当時の禅の修行の過程を牛の絵で示したもので、民衆に向けた禅の入門書のようなものです。禅を学ぶものが、自分自身を変革していくことを促します。禅宗では、この己の事を究めつくして明らかにすることを「己事究明(こじきゅうめい)」といいいます。

十牛図は牛のエピソードを描いた十枚の絵で構成されます。
最初の1枚が「尋牛」で、牛を見失った牛飼いが牛を探している絵です。
牛は真の自己を表現したものです。牛を見失ったというのは、自己を見失なったことを意味しています。自己を見失っては困るのですが、多くの人は見失っていることにさえ気づきません。経営者の例では、顧客や従業員に呆れられていても、本人が自覚していないということもあります。
十牛図の2枚目は「見跡」です。
牛飼はついに牛の足跡を見つけます。牛の足跡は、釈迦の説法の比喩です。釈迦の教えに従っていくことを表します。
3枚目は「見牛」 牛飼は足跡をたどって、牛を見つけます。
4枚目は「得牛」 牛飼はついに牛をつかまえます。
5枚目は「牧牛」 牛飼は牛を連れ帰って馴らしていきます
以下、最後の10枚目は「入鄽垂手」です。街に入り人の手を握るという意味で、自己を見つめ直した牛飼は多くの人と関わり、人々に救いの手を差し伸べます。これで、牛飼の自己変容は完成することになります。
