磁気冷凍が空調・冷凍冷蔵の世界を一新するか

大気中の熱を汲み上げるヒートポンプという技術で、日本は世界をリードしています。

 

日本で1年間に空調や冷凍冷蔵機器のヒートポンプが汲み上げるエネルギー量は、太陽光発電の発電量より大きいのです。ヒートポンプは最大の再生可能エネルギーの創出源であり、この面で言えば地球温暖化の抑止に大きな貢献をしています。そんなヒートポンプの最大の欠点が、この機構には冷媒が必要ということです。

 

トランプ関税
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ヒートポンプで使われる冷媒をフロンとまとめていいます。初期のフロンには、オゾン層を破壊する性能がありました。その頃には、高緯度地域でオゾンホール(穴)が開いて、高出力の紫外線が地表に降り注ぎました。ニュージ―ランドでは、紫外線障害で羊の目が見えなくなるようなことまで起きました。

 

今では、オゾン層を破壊するようなフロンは生産されていませんが、昔のフロンが残ったままの空調機もあります。要注意です。

 

現在のフロンでは温室効果が課題になっており、年々その効果は緩和されてきたものの、無くなったわけではありません。二酸化炭素とくらべて、数十倍から数万倍の温室効果を引き起こします。フロンの管理を厳密に実行するのは、事業者の責務です。

 

フロンの漏出による地球温暖化を止めるには、フロンを使わない空調や冷凍冷蔵技術が必要です。それが「磁気冷凍」というものです。磁性体に外部磁場を加えて、断熱状態で磁場を変化させると磁性体の温度が応答して変化します。これが磁場熱量効果です。この現象を利用するのが、磁気冷凍です。

 

最初の商用製品がエアコンになるのか、冷凍冷蔵庫になるのかは不明ですが、2030年までには磁気冷凍を利用した製品が提案される可能性は高いように思います。照明の世界がLEDの登場で完全な変革を果たしたように、空調・冷凍冷蔵の世界も新しい時代がやってきます。