農業の財務諸表は商業や工業と少し違います。
資産と負債と資本という関係は事業の内容に関わらず同じですから、貸借対照表は農業と商業や工業との違いはあまり大きくありません。それでもいくつかの違いがあります。
ひとつが、有形固定資産(減価償却資産)に搾乳牛や採卵鶏などの生物、果樹、花きの親株などがあることです。生物が減価償却資産になるまでには種付費・出産費・飼料費など費用が掛かりますので、育成仮勘定として計上されます。

この他、貸借対照表で特徴的なのは、農業経営基盤強化準備金です。普通は、法人の場合は純資産のその他利益剰余金に表示され、個人の場合は固定負債の引当金として計上されます。
農業収益は交付金等の割合が大きいので、損益計算書は農業と商業・工業ではかなり違います。
収益の勘定科目に、価格補填収入や作付助成収入など特有の科目が入ります。農業の場合は営業利益が赤字で、交付金等の営業外収益によって経常利益が黒字になるのが一般的です。
農業特有の勘定科目には、損益計算書項目では作付助成収入のほか、生物売却収入・廃蓄処分損などがあります。製造原価項目では、種苗費・素畜費・飼料費・肥料費・農薬費などが材料費にあり、農具費・共済掛金・土地改良費などが経費にあります。
慣れるまでは戸惑います。