太陽光発電の出力制御は原発1/4基分にもなる

再生可能エネルギーの導入が進んでいますが、棄てられるエネルギー量も増えていきます。

 

太陽光発電に代表される再生可能エネルギーの導入は、GHG(温室効果ガス)の排出量が少ないことから推奨されます。再エネの最大の問題は、需要と供給のアンバランスです。ソーラーパネルは太陽の光が当たれば発電して電力を供給します。電力需要があろうが、なかろうが関係ありません。

 

再生可能エネルギーの出力制御の 抑制に向けた取組等について 2024年3月11日 資源エネルギー庁
再生可能エネルギーの出力制御の 抑制に向けた取組等について 2024年3月11日 資源エネルギー庁

太陽光発電の発電量が最も多いのは、初夏の正午過ぎになります。しかし、この時季のこの時間帯に電力需要が多いわけではありません。電力需要が増加する盛夏や厳冬には、太陽光発電の発電量は減少します。また、平日と休日の電力需要にも差があります。

 

太陽光発電設備が増えたことで、東京電力エリアを除けば、電力に余剰が出ており、出力制御(太陽光発電の受取拒否)が発生しています。

出力制御の規模が最も大きい九州電力では年間10億kWh、中国電力では5.7億kWhです。全国を合計すると24.2億kWhになります。仮に30円/kWhで計算すると720億円にもなり、もったいないです。

ちなみに、原発1基(玄海3号機:118万kWのケース)の年間発電量が約100億kWhですから、1/4基に相当します。

 

そこで、蓄電池を使って電力を一旦貯蔵しようという発想がでてきます。ところが、この電力を貯蔵できるだけの蓄電池を置くには、膨大な費用がかかります。また、きちんと管理しないと、危険でもあります。

 

代わって、この余った電力を異なるかたちで貯蔵することが考えらます。最もポピュラーなにが、揚水発電での利用です。水の位置エネルギーとして貯蔵するのです。ところが、日本でダムをどんどんつくるわけにはいきません。

 

そこで、更に代わって、今、最も注目されているのが余剰電力で水の電気分解をして、水素を発生させて、水素あるいはアンモニアの形で貯蔵する方法です。よい方法ではあるのですが、水素は軽いので高圧に圧縮する必要があり、アンモニアは有毒です。

 

まだ、電力貯蔵に本当の答えは見つかっていませんが、省エネを進めることが正しい道であることは間違いありません。