三日目です。サランラップとクレラップのライバル物語の第三弾です。
スーパーマーケットという新たな販路を手中に収めた「サランラップ」は、そのシェアを一気に拡大します。1960年代後半は、サランラップ1強時代がやってきます。巨大なライバルに立ち向かうチャレンジャーの立場となった「クレラップ」は、巻き返しにでます。
![シャープ:日本初の量産電子レンジ(1961年)](https://image.jimcdn.com/app/cms/image/transf/dimension=341x1024:format=jpg/path/sa3592213af7de219/image/i672c3463296ab6f4/version/1713709025/%E3%82%B7%E3%83%A3%E3%83%BC%E3%83%97-%E6%97%A5%E6%9C%AC%E5%88%9D%E3%81%AE%E9%87%8F%E7%94%A3%E9%9B%BB%E5%AD%90%E3%83%AC%E3%83%B3%E3%82%B8-1961%E5%B9%B4.jpg)
クレラップもキッチンラップを取り扱う以上は、スーパーマーケットという販路を奪い返す必要があります。
その手法は、卸価格を下げ且つリベート率を下げることです。当然ながら、販売価格もサラナップより僅かですが下回ります。
クレラップとしては、利益率は下がりますが需要が急拡大を続ける商品であり、スーパーマーケットもどんどん出店するのですから、儲けは増えていきます。
日本のスーパーマーケットは、アメリカとは違って特売・セールを定期的に開催します。クレラップは特売の目玉商品としても人気になりました。
1970年代を通じて、クレラップはサランラップとの差を詰め続けて、逆転まではできなかったものの、ほぼ均衡したシェアを回復します。
1980年代になると、後ろが気になって仕方がないサランラップが、一気呵成のスパートでクレラップを引き離そうとします。旭化成スペシャルと銘打った「なるほど!ザ・ワールド」などのテレビ媒体、新聞や雑誌などの広告、流通キャンペーンやプレゼント作戦、料理教室の開催など、クレラップとは一桁違う物量での広告宣伝を集中投入します。
このタイミングで家庭に電子レンジが普及し始めます。
1961年に国産初の量産電子レンジがシャープから発売されましたが、1980年でも電子レンジ普及率は25%程度です。1980年代に入り、家庭に電子レンジが一気に普及します。サランラップは、ポリラップなどと比較して耐熱性に優れていて、電子レンジで使用できることを徹底的にアピールします。
もちろん、同じ材料のクレラップも電子レンジで使用できるのですが、サランラップが比較しているのはポリエチレン製やポリ塩化ビニル製のラップです。広告は言ったもの勝ちです。
こうして、1980年代を通じて、サランラップはクレラップを引き離していくことに成功します。この時期、サランラップのトップシェアは確立されたと言えます。
しかし、クレラップも手をこまねいてはいられません。1989年に現在に通じる新しいデザインとクレハカットを導入した「Newクレラップ」に、全面的なリニューアルをおこないます。
この時点で、サランラップとクレラップの戦いは30年の長きに渡っています。そして、激動の1990年代がやってくるのですが、この続きはまたの機会に・・。