業種を問わず、多くの中小企業では人手不足だと悩んでいます。どうも人手不足にも種類がありそうです。
人手不足とは、「人材の需要≽供給」という関係があるということです。需要に対して供給が不足するといっても、大きく2つに分けられます。「需要が増加した場合」と「供給が減少した場合」です。
最新の労働経済統計調査(2023年11月)で業界別の人手不足DIをグラフにしてみました。どの業種でも、押しなべて人手不足と感じています。
とりわけ、人手不足感の大きいのは、建設業、運輸業、医療福祉業になります。
このうち、医療介護福祉業では。需要の増加が顕著なようです。
日本で65歳以上を高齢者とすると、2023年と2025年の2年間では、3623万人から3653万人に30万人の増加です。高齢者人口は、ほぼ頭打ちで横ばいに近い状況です。
しかし、同じ期間に、高齢者のうち70歳以上は45万人増加し、75歳以上は50万人、80歳以上は55万人増えます。
日本の人口構成は、超高齢者が増えていく状況になっています。
このため、要介護・要支援人口は、この期間に35万人増える見込みです。医療介護福祉での人材需要は未だ増加しています。
これに対して、医療介護福祉人材の増加は3万人程度しか見込めないということです。
建設業と運輸業は少し微妙です。どうも、人材需要はそれほど伸びてはいないようです。
土木建設は、半導体製造工場や関西万博、災害復旧などで忙しい印象はありますが、現在が特別というわけでもないようです。
運輸業の場合も、トラックドライバーの2024年問題とか、宅配の再配達問題などが話題になりますが、需要そのものは落ち着いているようです。
つまり、建設業や運輸業の場合は、働き方改革の影響もあるのですが、人材の供給が細っていることが人手不足の主な原因のようです。
これらの職種では、過去に経験のある人が職を求めがちです。しかし、建設業も運輸業も、若い世代を取り込むことができなかった時期が長かったために、求人に応じる人材のストックが乏しくなっています。
このため、新規求職者の多くが高齢者になっており、持続性が不足しているようです。
したがって、建設業や運輸業の人手不足対策としては、労働生産性の向上しかなさそうです。
IT技術など新しい技術の導入に加えて、施主や荷主と一体になった改善に取り組むことができるかが、建設業や運輸業の人手不足解消の鍵になります。