海岸線が長い日本。ブルーカーボンの活用に期待が大きい

ブルーカーボンクレジットについて質問がありましたので、ちょこっと解説します。

 

先ずはブルーカーボンです。「藻場・浅場等の海洋生態系に取り込まれた炭素」と定義されています。海藻や海草の藻場、湿地、熱帯のマングローブ林などは、光合成によって大気中の二酸化炭素を吸収します。吸収された二酸化炭素は海藻などが枯れて海底に沈んだり、ちぎれて沖合に流れて深海に沈んだりすることで、固定されていきます。

 

ブルーカーボン 炭素循環
ブルーカーボン 炭素循環

ブルーカーボンと対比されるのがグリーンカーボンです。熱帯雨林などの森林や草原など陸地生態系に取り込まれた炭素のことです。

 

右の図の数字は2021年の実績です。世界の二酸化炭素排出量を炭素換算(×12/44)すると93億トン。このうちの26億トンが海域、22億トンが陸域で回収貯留され、45億トンが大気中に残留します。

ブルーカーボンとして1年間に2.4億トンの炭素が固定されるという試算です。想像するよりブルーカーボンの炭素固定シェアは高いということがわかります。

 

四方を海に囲まれた日本にとってブルーカーボンはとても有望です。ブルーカーボンは光合成が必要なので、太陽の光が差し込む海岸線近くの海洋が主な舞台です。

海岸線の長さは計測の仕方によって異なりますが、日本の海岸線の総延長は3.4万㎞と試算されています。地球の全周4万㎞の8割を超えます。オーストラリアやアメリカ合衆国より海岸線は長く、ブルーカーボンのポテンシャルではインドネシアやフィリピンとともに世界トップクラスです。(単純な海岸線長さでは、カナダとロシアが長いのですが寒冷な北極海なので、ブルーカーボンのポテンシャルは低い。)

 

山口県は、三方が海で囲まれ都道府県別で6位の約1600㎞の海岸線があります。山口県でもブルーカーボンを活用したプロジェクトが増えてきました。

Jブルークレジット認証プロジェクト<山口県関連>

●防府方式による藻場の環境保全と再生、海の未来づくり

●岩国市神東地先におけるリサイクル資材を活用した藻場・生態系の創出プロジェクト

●大島干潟から、つながる周南市ブルーカーボンプロジェクト in 徳山下松港

●山口県下関市特牛地先・磯守ブルーカーボンプロジェクト

 

今後の発展に注目していきましょう。