物価上昇を超えている賃金上昇の課題

テレビのインタビューで、物価高で生活が苦しくなったと応える人が流れています。いわゆるやらせや仕込みも多いでしょう。

 

日本は、デフレで物価が上がらないのが課題であると言われ続けていました。ようやく物価が上がり始めたのだから、喜んでもよさそうなところです。2020年を100とした2023年11月の消費者物価は106.9でした。生鮮品とエネルギーを除いた消費者物価でも、105.9だったので、物価上昇の目標値である年率2%を概ね達成しています。

 

消費者物価指数
消費者物価指数

現時点では物価上昇率は年率2%を少し下回る水準で落ち着いてきているというのが正しい認識のように思います。

 

よく物価上昇を超える賃金上昇を目指すという話がありますが、2023年の1人平均賃金の改定率は物価上昇率を大きく超える3.2%です。もともと、安倍政権の下での賃上げ推進政策で、年率2.0%程度の賃金上昇が続いていました。それが、足許の輸入価格の上昇を背景に加速してきました。

 

2023年11月の消費者物価指数は105.9ですが、企業物価指数は国内取引で119.5でした。輸入取引の指数は167.8です。消費者物価に対して、企業物価はずっと大きな上昇になっています。企業物価も徐々に安定してきましたが、事業者としては、原価上昇を販売価格に十分転嫁できていない状況が続いています。できれば、さらに値上げをしていきたいところです。

 

ところで、企業物価の大きな変化に対して、消費者物価の変化は小さいです。これは、商品の原価率にだけ企業物価が関係することによります。企業が調達する物品やサービスの価格が119.5に増えても、調達原価率が50%であれば、その影響は50%部分に限られるからというのが、企業物価の変動が消費者物価の変動より大きくなる理由です。

逆に企業物価が大きく下がっても、消費者物価の下がり幅はそれより小さくなります。

 

商品価格の原価を50%とすると、残りの50%が販管費と利益になります。販管費の最も大きな要素が人件費です。間接的な意味合いも含めれば、販管費の水準は人件費で決まるといっても、あまり間違いではありません。その人件費、つまり賃金も上昇しているので、事業者が値上げを回避するには利益を絞ることになります。

 

したがって、一般の事業者としては、売上高を大きく増やさない限り、値上げしていかなければ経営が成り立たないわけです。