事業環境が変わってきました。受注前物件の目標利益額が正しいのか確認しましょう。
建設業では、物件の目標粗利益率を25%とか30%とかに設定されているケースが多いです。この程度の粗利益率が見込めるなら受注します。これ以下の粗利益率しか見込めないなら、受注を諦めるか、仕様変更などで原価を絞って粗利益率を高めるわけです。しかし、そもそも目標粗利益率が25%(30%)で適当なのかを確認してみることが大事です。
![目標粗利益率](https://image.jimcdn.com/app/cms/image/transf/dimension=341x1024:format=jpg/path/sa3592213af7de219/image/ia3ee018dfe26291c/version/1699777668/%E7%9B%AE%E6%A8%99%E7%B2%97%E5%88%A9%E7%9B%8A%E7%8E%87.jpg)
受注金額から利益に至るのは、シンプルに右のような関係です。
事業経営の目的は利益の拡大ですから、受注金額が大きくするか、工事原価と固定費が小さくするか、その両方をするかの三択です。
建設業では、物件毎の粗利益率を目安にして受注するか否かを判定します。
例えば、年間売上高10億円で固定費2億円の会社とします。売上高の5%に当たる5千万円の営業利益をあげるには、受注物件の目標粗利益率は25%としてよいでしょうか。
ここで重要なのは、受注は@×nですが固定費は文字通り固定ということです。理想的に工事計画がきちんと埋まることはなく、工程に空きが発生することはよくあります。公共工事などでは予算消化の関係による繁閑の差も大きいです。そいった稼働率の低下を考慮するだけで粗利益率25%では足りないとわかります。極端な例では、売上高が8億円に減れば、粗利益率25%で2億円の粗利なら利益はゼロです。
また、計画通りの粗利益率が仕上がりで確保できているのかを検証することが大事です。現場管理のやり方によっては追加や手直しによって工事原価が上がることも、改善や気配りによって下がることもあります。いろいろな視点で仕上がり粗利益率を分析してみます。極端な場合、いつも工事原価が計画よる膨れる現場があるなら、その分を予め考慮しなければなりません。
さらに、固定費が本当に固定なのかも確認します。燃料費など物価が上がっていますし、リース費用や手数料なども値上がりしています。借入金があるなら金利上昇の可能性もありますから、各物件に配賦する固定費が妥当ではないかも知れません。利益を確保するのに必要な粗利益率の見立ては重要です。
これまでは粗利益率25%とか30%とかでよかったとしても、これからの目標粗利益率はいくらが適切なのかは再考してみましょう。