岸田内閣の支持率がどんどん下がっています。総理が何がしたいのかがわからないので、国民の不安が募っています。
日本国の規模になると、内政も外交も、政治は複雑であり一筋縄ではいかないことは明らかです。ましてや、人類の歴史上でも未曾有の新型コロナ騒動があり、世界に衝撃を与えているプーチン・ロシアのウクライナ侵攻がありました。燃料価格の高騰や、急激な円安など、不安定要素も満載です。内閣が目指す方向性を簡単に伝えることは難しいでしょう。
それにしても「新しい資本主義」というのはわかりにくさが半端ないです。
資本主義の意味は、中学校の社会科の教科書で社会主義と対比して学びました。資本主義のほうが、経済は発展するが格差が広がり、社会主義はその逆です。
21世紀の日本は、森喜朗内閣の後、小泉純一郎内閣(2001年4月~2006年9月)で事実上はじまります。
「郵政民営化」を旗印にして、「民間でできることは民間でやる」と小さな政府を目指しました。「改革なくして成長なし」です。この改革とは、行政改革であり政府を小さくして、民間の活動を自由に開放するというわけです。
小泉内閣の新自由主義的な政策は、その当然の帰結として格差拡大につながり、現代風ではないところもありました。しかし、結果はともかく、リーダーとして明確な方向性を示したことでスッキリします。
小泉内閣は5年余りの任期中、支持率が50%近くを維持し続けます。安定した支持を集めたのは、やはり小泉政策のわかりやすさだと思います。
小泉内閣を引き継いだ安倍(第一次)、福田、麻生内閣は、小泉路線の修正をうまくおこなうことができません。特に、福田・麻生内閣は、負の遺産だけを引き継いだ後継者のようなものでお気の毒ですが、政権末期の内閣支持率は20%を下回る悲惨なものでした。
その反動が、民主党への政権交代による鳩山内閣の誕生です。民主党の政策は「政権交代の実現」しかなかったので、実際に交代してみると何をしていいのかわかりません。マニフェストを掲げていたのですが、要するに開けてみたら単なる「やってみたいことリスト」だったことが知られて、結局なにがしたいのわからなくなり、あっという間に支持率が下がりました。
民主党政権の後の安倍内閣は、小泉内閣の手法を踏襲してわかりやすさを重視します。「アベノミクス」の3本の矢です。①デフレ脱却を目指す無期限の量的金融緩和、②東日本大震災からの復興、地域創成などに大規模な財政出動、③民間投資を喚起する規制緩和、という政策は、善し悪しはともかくとして、わかりやすかったです。
短い菅内閣を経て、長期政権を視野に入れた本格的な岸田内閣です。
小泉内閣の新自由主義路線を、安倍(第二次)内閣はアベノミクスで修正しました。岸田内閣の掲げる「新しい資本主義」とは何か?が未だによくわかりません。
「成長と分配の好循環」「未来への投資と賃上げの実現」といわれても腑に落ちません。民主党政権の「やってみたいことリスト」ほどの高揚感も無いので、支持率は下がります。
一方で現在の政治情勢は野党がどこも弱いので、自民党の政党支持率が高め安定していることから、内閣支持率が少々下がっても岸田内閣は安泰です。