大内塗が廃れなかったのは夫婦人形のお力添え

大内塗といえば、夫婦が対になった愛らしい大内人形が有名です。 

 

他の大内塗の商品としては箸くらいで、あまり什器などは見かけなくなりました。しかし、大内塗は大内氏が治めていた室町時代から続いている伝統工芸品ですから、当初は椀や盆などの実用品としてつくられていました。時代が下って需要が細って、人形と箸が残ったというわけです。

 

大内椀(毛利博物館)
大内椀(毛利博物館)

防府市の毛利博物館が所有している大内椀です。☞ 山口県:指定文化財検索webサイト 

 

 ベンガラ漆の下地に、秋草模様を金や色漆を使って華麗に装飾しています。ただし、あまり仰々しくなく、この時代のものとしてはシンプルな印象もあります。

いずれにせよ、大内時代の山口の栄華を間接的に示しています。

 

大内塗のような伝統工芸品は、原材料が高価になり、且つ入手も困難になっています。実際に使用する椀や盆は、機能そのものはプラスチックの安価なものと変わりません。このため、時代とともに、需要が減ってきたことで、事業としてなかなか成り立たなくなっています。

 

それでも、大内塗の伝統が守られてきたのは、実用品ではない大内人形の人気があったというのが大きい要素のようです。まん丸い身体に、大きなお顔。細いタレ目におちょぼ口という、特徴的な姿が癒しになるんですね。