ステークホルダー資本主義への移行を早める

株主資本主義からステークホルダー資本主義への移行が進んでいきます。 

 

株主資本主義とは、経営の目標は株主の利益を最大化することだという考え方です。アメリカ型の経営と言えます。経営者が会社運営において株主利益の最大化を図っているかを監視する仕組みが、コーポレート・ガバナンスといわれるものです。独立した社外取締役・社外監査役や監査法人などが経営者を監視し、報酬や処遇などを決定します。

 

ステークホルダー
ステークホルダー

ステークホルダー資本主義と株主資本主義は概ね対語になります。

企業にとって、株主はストックホルダーですが、ステークホルダー(利害関係者)でもあります。

 

しかし、企業と利害関係を持っていて、企業の運営に影響を与えるステークホルダーは株主だけではありません。顧客/消費者、仕入先/協力会社/物流会社、従業員/その家族、行政機関、金融機関、地域社会などが企業のステークホルダーになります。

 

アメリカで、株主資本主義への過度の傾斜が格差や分断を拡大しているという批判から、2018年にウォーレン上院議員が「説明責任のある資本主義法案(ACA:Accountable Capitalism Act)」を提出しました。

☞ 野村資本市場クォータリー 2018秋号

アメリカと日本の事情は大きく異なりますし、ACAは年商10億ドル(1400億円)以上の大企業を対象としています。しかし、この法律案の組み立てはとても興味深いです。リンクを貼った野村市場クォータリーの記事を参照してください。

 

経営者には、地域社会の持続性に貢献する事業を、従業員が働きやすく幸福になる職場で、サプライヤーと公正な取引をおこないながら、新たなテクノロジーを活用して、サステナブルな企業運営をすることが求められます。これは、公開会社でも未公開会社でも同じです。

コーポレート・ガバナンスのあり方も必要に応じて見直されていくと思います。

 

この場合、ステークホルダー側の意識の変化も必要です。従業員は団結して経営者に正しく物申し、サプライヤーも合理的な要求をきちんと伝え、地域住民も企業活動に関心を示し、行政機関も適確に情報収集して積極的に関与していくことです。また、ESG投資といった金融機関の役割も重要です。

企業のステークホルダーに対する責任とともに、ステークホルダーの企業への責任も大きいのです。