しんかい6500 有人で大深海を探査する機会は少ない

111年前に沈没して、水深3800mの深海にあるタイタニック号の残骸を見学するツアーでの事故でした。

 

報道によると、このタイタニック号見学ツアーに使用された「タイタン」という名前の深海潜水艇の設計や運用には問題があり、これまでも危険性が指摘されていたそうです。公海上で乗客を乗せるタイタンには、どの国の規制も関わらないので、安全審査も非受検のままで、誓約書には死んでも文句は言わないとあったそうです。今回のタイタン14回目のツアーが最後のツアーになりました。

 

しんかい6500
しんかい6500

世界には大深度で活動できる有人深海潜水艇は7基しかないそうです。そのうちで、最も信頼性が高いのは日本の「しんかい6500」と言われます。文字通り、6500mの深海を探査することができます。

 

しんかい6500は1990年の運用開始から既に33年目です。公式Twitterの2021年10月2日に1600回目の潜水探査をおこなったとあります。建造から33年、潜航回数1600回以上となると、かなりの老朽化で疲労の蓄積が懸念されます。

 

素朴には、新しい潜水艇の建造が必要なのではないか?。また、6500mより深い海の探査のために、しんかい10000とかを、新たにつくることはしないのかなぁと思いました。

 

文部科学省のwebサイトをみると、大深海を危険を冒してまで有人で探査する意味がそんなにないということのようです。しんかい6500の窓は中央と側面にありますが、直径は僅かに12㎝です。光の無い真っ暗な空間で、ライトを頼りに小さな窓からの探査では限界がありそうです。また、人の生命を維持するためには探査の時間も制限されます。

 

代わって大深度の探査には無人探査機を使うことが合理的との判断です。日本で運用されている母船からケーブルで連結されている無人探査機は「かいしん7000」です。水深7000mまで探査できます。自立航行できる無人探査艇は「うらしま」といいます。水深3500mまでの深海を100㎞以上航行することができます。いずれもハイビジョンカメラで撮影するので、人が窓からのぞくより、圧倒的に多い情報を集められます。

 

また、世界の海洋の99%は水深6500m以内だそうです。それより深いのは日本海溝のような場所だけで、探査する意味が少ないようです。海洋の鉱物資源(鉱床)は水深1000~3000mのところに分布していることから、現実的な深海探査の主な舞台は3500m以下の深海だそうです。実際にしんかい6500もこのあたりの水深を探査することが多いようです。

 

なるほど、よくわかりました。

 

☞ 国立研究開発法人海洋研究開発機構 webサイト