山口県のBCPでは風水害と土砂災害を考慮する

山口県の企業でも、 BCP(事業継続計画)をつくるときに想定する自然災害として地震を掲げることが割合に多いです。

 

山口県でも地震リスクはもちろんあります。BCPで地震を想定することは間違いではなく、正しいことです。しかし、山口県では、過去をずいぶんと遡っても、地震による大きな被害を受けたことがありません。このため、どうしても防災や減災への取り組み意欲が鈍っている印象があります。尚、山口県には被害が想定される活火山がありません。

 

山口県土砂災害ポータルより柳井市の地すべり
山口県土砂災害ポータルより柳井市の地すべり

一方で、山口県は本州の西端に位置して、台風の進路となりやすいこともあり、風水害による被害は全国平均を上回ります。

下関気象台のwebサイトによると、1991年以降で山口県に影響のあった台風は49個もあります。

  

さらに、風水害といえば、どうしても台風をイメージします。しかし、山口県では前線の活動による被害や、台風ではない低気圧による被害のほうが件数も多く、被害規模も大きいのです。しかも、地球温暖化の影響もあって、その頻度は増えており、激しくなってきています。

つまり、山口県のBCPでは、自然災害として風水害を想定することは、地震を想定するよりも合理的です。

 

また、山口県では風水害の1/3くらいでは土砂災害を伴います。山口県は西端まで西中国山地の山が連なり、急傾斜地が多く平地が少ないことから、土砂災害危険地域が多いのです。

BCPでは、風水害と土砂災害をセットで考えることは有効です。

 

但し、風水害の頻度は増えていますが、土砂災害は逆に減っています。これは、近年、砂防工事など防災や減災工事に力を入れてきたことの成果です。そういった地域では、リスク評価を見直すことも必要です。

一方で、土砂災害の多くは、風雨のピークを超えてから、ときには数日経ってから、時間差で発生しますから、この点には注意が必要です。