BCP(事業継続計画)では安全性を固定比率で評価する

会社が事業継続計画(BCP)をつくるときには、ヒト・モノ・カネ・ジョウホウの4つの視点を取り上げます。

 

事業継続計画の策定支援をする際には、ヒト・モノ・ジョウホウについては率直な議論が活発におこうことができます。しかし、カネについては初見の会社さんなどとは、あからさまに議論することが憚られることが多いです。そこで、会社の内部でよく検討していただきたいと思います。

 

中企庁Webサイト(中小企業BCP策定運用指針)
中企庁Webサイト(中小企業BCP策定運用指針)

自然災害などの不測の事態に遭遇すると、会社の活動度が下がります。ときには活動度がゼロまで下がることもあります。

この活動度をできるだけ早く戻していくための計画がBCPです。

 

活動に必要なヒトを集め、壊れたモノを直し、失われたジョウホウを取り戻します。そのとき大事なのがカネです。

BCPで最も重要な要素かも知れません。

 

財務情報で安全性の評価をする場合には、「流動比率」を使うのが一般的です。

流動比率=流動資産÷流動負債 です。これが200%以上(つまり流動資産が流動負債の2倍以上ある)なら安全性が高い。100%未満であれば危険という評価をします。

 

しかし、BCPの場合は「当座比率」を使って評価します。

当座比率=当座資産÷流動負債 です。当座資産とは、流動資産のうちで現金・預金、売上債権、有価証券といった換金性の高い資産のことです。自然災害など不測の事態によって毀損される可能性がある棚卸資産を含みません。この当座比率が100%以上あれば、安全性があると評価されます。

 

 同じく、「長期固定適合率」もBCPの評価に使われます。

長期固定適合率=固定資産÷(自己資本+固定負債) です。固定資産がどの程度自己資本で賄われているかの指標です。100%を下回っている分は、自然災害など不測の事態があった場合の復旧投資に向けられる可能性があります。逆に100%を超えている会社には、その余裕がないということです。